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三人は、しばらく拘禁されたのち、馬車で護送された。馬車にはほかにも、様々な罪状で荒れ地おくりになるひとがのっていたが、まともな食事も与えてもらえず、数人は移動中に亡くなってしまったらしい。
とはいえ、荒れ地おくりにされる罪人だ。死んだところで誰も騒がない。還元されて、お仕舞だ。生きている罪人が還元をさせられる場面もあったという。馬車が数台並ぶようにして走っていることに、三人はそのやりとりがきっかけで気付いた。
その後、裾野に這入ってしばらくすると、手続きがあるとかで数日、牢のようなところへおしこめられた。そこでもやはり、食事はほとんどないし、与えられてもうすいおかゆとか得体の知れないもので、やはり数人亡くなっている。
「僕らは、若いですし、健康なので」
「レティアニナが、助けてくれたしね」
カルナさんは塩飴を嚙み砕く。彼女は焦げ茶の髪を、ざっとみつあみにして頭にまきつけ、端を髪の毛におしこんで停めていた。手際がいいし、髪の傷みをまったく気にしていない手付きで、こちらの世界らしいと思う。
ミエラさんも似たようなもので、髪をうなじのところで結んでいた。本当に結んだのだ。結ったのではない。紐もないのに結えないだろう。
紐やリボンをとりだして見せたが、そこまでよくしていただけませんと、女性ふたりはそう云って断った。本当に、髪に対する意識が、男女では天と地だ。
ニニくんは顔をしかめている。その髪は、こちらの男性にしては驚くくらいに短い。俺が装飾品をとりだすと、喜んだ様子でピアスを耳につけていた。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
「装飾品はとられてしまったし……」
ニニくんはまた、不自然に口を噤んだ。言葉が出てこないみたいで、ぐっと歯をくいしばっている。カルナさんが低声でなにか訊いた。
ニニくんが頷く。ミエラさんは顔を曇らせていた。カルナさんがニニくんを憐れむみたいに見ながら云う。「この子、そこについた日に、兵達につれていかれて、戻ったらこの頭になっていたんです。怪我もしていて、……ああ……その……ねえ?」やけにはやくちで、目を逸らしている。「わたしやミエラだと、ほら、具合の悪いことになるかもしれませんし、そうなったら兵にとってもそれをまとめる人間にとってもはじですから、レアティニナが一番だと兵達は考えたみたいで……だから……」
カルナさんが云いたいことはわかった。どこにでも、気分の悪い話はあるのだ。




