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ほーじくんと一緒に幕屋を出て、身繕いした。砂でつらいので、顔はきちんと洗いたい。ほんのちょっとの水分に、まるっこい虫達が集まってくる。ちゃんと仕切りを置いておいたお手洗いで用足しもすませ、幕屋へ戻った。
タスが見張りに立っていて、三人がひとりずつ手洗いに立ったと教えてくれた。その三人は、一ヶ所にまとまって座り、手をつなぎあって、低声で話している。今度こそ、お祈りではなくて会話だ。
俺はティーポットにお茶をわかし、砂糖つぼとマグを用意した。運んでいくと、三人はこちらを見、頭を下げる。男性は首の動きがぎこちなかった。
「どうぞ、お茶です」
ティーポットとマグ、砂糖つぼを置いた。傍にお匙を並べる。俺の後ろに居るほーじくんは、俺の腕をきつく掴んでいて、作業がなかなか大変だった。
にこっと笑ってみせた。三人は困惑しているらしい。
俺は、そのままそこへ座る。ほーじくんが俺をひっぱったが、すぐに諦めて、俺の隣に座った。しっかりと俺を捕まえていて、はなしてくれない。
「落ち着きましたか?」
そう云うが、三人は俺がなにを話しているか、よくわからないようで、ぼんやりしている。俺は自分と、ほーじくんの為のマグを出して、お茶を注いだ。どちらにもお砂糖はいれない。ほーじくんは目の前に置かれたマグをとらず、俺の腕をはなさなかった。
俺はお茶をふうふうさまし、ちょっとすする。三人は、ティーポットに触れさえしない。緊張感みたいなものが徐々に醸成されつつあった。あんまり、喜ばしくないものだ。
「気分が悪いとか、どこか痛いとか、ありませんか」
「あの」小柄な女性が声を出した。ぺこりと頭を下げる。「たすけていただいて、ありがとうございます」
年齢的に、彼女が一番上みたいだし、話をするにはいいだろうか。俺は小柄な女性ににこっと笑みをむけた。
「いえ。俺はマオといいます。お名前を訊いても?」
女性がうっすら、ほんの少しだけ赤くなり、残りのふたりもそうなった。なのらなかったことを大変な無礼だと考えているみたいで、項垂れてしまう。
「もうしわけ……わたしは、ミエラと申します。ハイオスタージャ家につかえていて」
「今は、そういうのは、関わりないよ」
男性……というか、声を聴くに、男の子だ。その子が云った。喋るとますます幼い感じがする。十八歳か十九歳くらいか。
ハイオスタージャ家?
それで、なんとなく事情は察せられた。三人は犯罪で荒れ地おくりになったのではないのだ。
癒し手になるのを拒否することが犯罪でないとすれば。




