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うとうとする。ほーじくんはあたたかくて、穀物の香りだ。
寒さに目を開くと、ほーじくんに抱えられたまま、一緒に横になっていた。俺は毛布をひっぱって、自分とほーじくんの体にかける。ほーじくんは俺の脇腹の辺りに腕をまわしていた。よほど、不安なのだろうか。
目をこすってほーじくんの寝顔をよく見た。そのあと、その向こうに三人の姿を見る。三人とも上体を起こし、なにか話しているふうだった。
一気に目が覚めた。俺はさっと上体を起こす。ほーじくんの腕がするりと落ちた。じゅうたんにあたって、鈍い音がする。
ほーじくんも、それで目が覚めたらしい。小さく唸って目を開け、頭を左右に動かし、俺の存在を確認している。俺が居るのを見たらほっとしたみたいで、ふーっと息を吐きながら上体を起こす。
それから、俺がなにを見ているか気付いたみたいで、彼は肩越しに背後を見た。そちらでは、三人が怯えた顔で寄り集まり、かたまっている。お互いの手をとりあっていた。もしかしたら、深夜のお祈りをしていたのかもしれない。
俺は枕許のランタンを持ち上げ、ほーじくんは絶佳で体を少しだけ光らせた。ランタンは、星が出ているといえくらい沙漠なので、火をいれて置いておいたものだが、ここにはなかった筈だ。
タス辺りが持ってきたのだろう。あいつ、やけに気をまわすからな。それとも、よく気が付くマルジャンだろうか。マルジャンに気を遣われるのは悪い気持ちではないのだが、タスだとちょっと憎たらしい。
三人の表情がもっとよく見える。ほーじくんを見て、ぽかんと大きく口をあけていた。
小柄な女性は俺と同年代くらいだが、あとのふたりは二十歳前後くらい、だろうか。気を失っていた時よりも、かなり若く見える。相当消耗していたのが、眠って少しはもちなおした、ということだろうか。それとも単に、子どもみたいな、驚愕を隠さない表情をしているからかもしれない。
ほーじくんはといえば、むっつりと、不機嫌そうだ。俺の袖をつんとつまんで、はなさない。俺が逃げようとしている、と思っているみたいに。
「ああ」
掠れた声で、平均的な身長の女性が云った。「開拓者の加護だわ」
三人が頭を下げ、ほーじくんが尚更、不快そうにする。
祇畏士があがめられる、というのは、見慣れた光景である。なので、俺はそれについてはなにも考えず、おなかがすいているだろうし咽もかわいているだろう、なにか食べさせてあげないとな、と、そう考えていた。




