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結局、そこでその晩すごすと決まった。なので、幕屋の建て直しだ。タスは「厄介」と云ったのに、てきぱきと幕屋をつくってくれた。
昨日は時間がなかったし、くたくたに疲れていて無理だったので、服をかえるだけしかできなかった。でも、今日はまだ日が落ちていないから気温は高いし、さっさとお湯をつかってさっさと服を着れば寒くもない。なので、俺は椅子と布という簡易の衝立をまた作成し、たらいにお湯を張って体を洗った。
「ほーじくんも一緒にはいろうよ」
衝立の向こうに声をかけてもほーじくんは反応してくれない。俺はぶんむくれて体を洗い、拭いて、服を着た。
いれかわりでほーじくんもさっとお湯を浴び、そのあとタスもそうした。マルジャンとヤラも、タスが洗ってくれる。エクシザはお風呂がきらいみたいで、鼻を鳴らすような音をたてながらヴェルツを食べていた。
日が落ち、食事の用意をする。三人には毛布や毛皮のローブをかぶせ、ひえないようにしていた。俺は、危険だから、とほーじくんもタスも云うので、三人には近寄っていない。額のしるしについても、はっきり見てはいないのだが、なんだかやけに鮮やかなものだというのはわかった。色彩に乏しい荒れ地では、目立つものなのだろう。
さつま芋とバターナッツ、落花生のはいったトマトベースのシチューをあたためてもらっていると、魚の骨みたいなやつが集団でふわふわ漂ってきた。偸利で体力魔力を補うのがいい手段だというのはわかっているのだが、こいつらはかたいし面倒だ。ほーじくんに頼んで清絶をつかってもらい、全体的に弱らせてもらってから、俺とタスで地道に偸利をつかっていった。俺はそれを、タス以外のみんなに分配する。ほーじくんの体調が、少しずつでもよくなってくれたらいいな。
魚の骨は、エクシザも食べないので、ほーじくんが滅却してからタスが還元した。魔力の補充。うむ。
俺はシチューとパン、ほーじくんはシチューと雑穀のクラッカー、タスはくだもの、マルジャン達はさつま芋や菊芋、エクシザはヴェルツ、という食事をしていると、幕屋の隅っこに寝かせている三人のうちひとりが、大きく呻いた。
具合が悪くなったのか、と不安になって、立ち上がろうとすると、ほーじくんとタスが同時にこちらへ向く。ほーじくんに手を掴まれた。「マオはじっとしていて、って、さっきも云ったよ」
う、叱られてしまった。
俺は首をすくめる。タスが立ち上がる気配を見せたが、辞めた。レットゥーフェルが様子を見に行くというのは、もし目が覚めていたらこわがらせそうだから、避けたんだろう。




