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 目のまわりが奇妙に腫れて、赤くなっていたのは、虫刺されかな。外傷らしいものはすべて、ヤラの治療で落ち着いているように見える。意識が戻らないのは、荒れ地に放り出された肉体的精神的疲れからかもしれない。

 ほーじくんが危険かもと云うので、俺は最初のちょっとした観察のあと、三人からは距離をとった。太陽が赤くなってくる。砂さえも、赤くなっていくみたいに見える。そろそろ日が暮れるかもしれない。


「マオ」

 声がして、タスが上空にあらわれた。疲れた様子で、はばたきながらゆっくり降りてくる。

 マルジャンとヤラが駈け寄り、お水を出したり氷をつくったりして、タスの体をひやそうとした。タスはそれに頷く。「ありがとう、チャタラ。……マオ、馬車はなかった。轍も見えない。そやつらは、二・三日生き延びているのだろう」

「ああ……ありがとう、タス。お疲れさま」

 タスはマルジャンのつくった大きめの氷を口にいれ、嚙むことなくすぐに飲み込んだ。タスの人間のような言動に慣れていると、そういうふうに人間に思えない行動にびくついてしまう。

 馬車なし、轍もなし、か。タスの云うとおりで、数日生き延びているんだろう。なら、癒し手や、還元士かもしれない。もしくは素手での戦闘に向いた、或いは素手でも戦闘できる職業か。

 拳闘家や舞姫なら、武器なしでも戦える。肉弾戦には慣れているだろうから、武器なしで魔物と渡りあうことは不可能ではない。防具がないのは不安だろうけれど。

 魔導士などの魔法系職業なら、そもそもあまり剣などの武器を扱わない。持っていても、能力値や魔法の効果を底上げする為のもので、魔物に近寄りはしないから、距離をとっての戦闘に慣れているだろう。遠距離の攻撃手段がない魔物も多いし、魔法でばんばん攻撃してくる魔物でもない限りしばらくは持ちこたえるかもしれない。魔力が高ければなんとかなるかな。

 ヴェルツも遠距離攻撃手段はないようなものだが、叫喚に似た効果が常にあるらしいから、それでまともに戦えなかったんだろう。


 タスが呆れたみたいな声を出した。

「それで、また厄介を背負い込もうとしているのか」

「え?」

 タスは無言で、簡易の幕屋の日陰に寝る三人を、顎で示す。……あれって、顎でいいのかな。

 俺は三人を見、それからタスへ目を戻した。「訊きたいことがあるだけだよ」

「同じことを云ってお前はわたしを使役した」

 そう云われると返す言葉はない。だから俺は肩をすくめ。ちょっと休憩しようと提案した。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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