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とにかく、真相はわからない。飾りけのない目立たない装飾品だから、なにかの証とか記念として、女性が身につけていてもおかしくないのだ。現に俺の同期の女性も、鎖に通して首にかけて服の下へ隠す、という、外から見えない場所にだけれど、身につけていた。
だから、そういうふうになにかの理由(入山して同期と一緒に買ったとか、結婚の証として密かに購入したとか、それこそ奉公の同期達と分け合ったとか、理由はなんでもあるだろう)で常にこのふたつを身につけていた女性の家族が居て、そのひとから預かった、ということも考えられる。そんなことは俺にはわからない。判断できることではない。
でもわからないから、話を聴きたいと思った。もしかしたら俺の同期と、なにかしらの関わりがあるかもしれないのだ。それがいいことでも悪いことでも、聴かずにはおれない。話を聴かないで放っておいてすすむ、というのは、無理だ。
俺にはそんな精神力はない。もしかしたら誰かになにかあったのかもなんて考えながら、移動はできない。
なので、俺はマルジャン達に手伝いを頼んで、簡単な幕屋をつくった。ごく簡単なものだ。ただ日をよけるだけの。
そこに、エクシザとほーじくんに手をかしてもらって、三人を運びこむ。ほーじくんは小柄なほうの女性をひきずっていって、じゅうたんの上に寝かせていた。俺よりは力があるけれど、そこまでじゃないみたい。
エクシザはおそらく、間違って人間の血が口にはいるのもいやなのだと思う。さっきも蹴爪で男性をころころ転がしていたし、くちばしでなにかしたのは指環を示した時だけ。レットゥーフェルを簡単に放り投げるくらいの力があるくせに、人間を運ぶのには消極的で、なだめすかしてどうにか協力してもらった。生肉をひと塊あげることになったけれど、それで手伝ってくれるのなら充分だ。
そしてヤラが、三人に水花と燕息をかけてくれた。燕息でも気絶から即座に復活させることは難しいみたいで、並んで横になっている三人はうーんと呻くだけだ。
顔立ちや髪の色からすると、ディファーズ人かシアイル人か、という感じだ。ロアの入植者の子孫かもしれない。三人とも、肌は日焼けで赤くなり、鼻の頭がむけていた。
少なくとも、沙漠に向いている体質ではないと思う。色白で、胸板が厚く、しっかりした体つきだ。体があたたまりやすそうだし、熱を放出するのは苦手そうだ。ダストくんや荒れ地近くのひと達のような、ひょろりとした四肢の長さも、日光に負けない肌の黒さもない。このひと達が、日よけ用の布で顔を覆うこともできずに、荒れ地をうろつくのは、無理がある。




