表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
373/6710

368

 

 なんだか気色が悪い。

 リーニくんの話通り、「お客さん」は三人。かみなり、ふたご、されき。そして、つれてこられた俺達四人。数が少ない。差が。


「マオ」

 ぶ厚いローブをぬぐと、すぐに抱き寄せられた。ぞわぞわする。「なあに」

「ほら、呑んで」

 口許にゴブレットがやってきた。仕方ないので素直に口をつける。

 さて。どうやって話を聴きだそう。ウロアが日に何回「質問」できるか、を知りたい。

 賭場でウエイトレスに指示を出していたこいつは、かなり偉い筈。ヴァンさんも、ただの部下じゃないようなことを云っていた。こいつ経由でならウロアにも通じるかも、というのなら、質問の回数上限も知っているのじゃなかろうか。

 お酒は、蒸留酒。炭酸水で割ってある。賭場のものと違って、上等だ。辛いだけじゃないし、変な匂いもしない。ウィスキーなのかな? かすかに桧みたいな香りがする。

 されきは遠慮なく、俺を膝へ抱える。「おいしい?」

「……とっても」

 またキスされるかも、と身構えたが、されきは俺の耳を擽るだけだった。


 リーニくんとふたごは、少し離れたところでまだじゃれあっている。リーニくんは羽織っていたローブをぬいで、やわらかそうな生地のチュニックとずぼんになっている。

 チュニックの上につけたベルトに、途中に釘が刺さったロザリオみたいなものがぶらさがっていた。あれは、ミューくんや、サーダくんも持っていたっけ。リーニくんは、ディファーズ系なのかな。


 かみなりはされきのすぐ近くに座り、ティーくんとヴェンゼくんにお酌をさせていた。

 ティーくんは目付きこそ鋭いが、てきぱきと世話をしている。

 ヴェンゼくんはおろおろしていて、一回ゴブレットへワインらしいものを注いだ後は、ただ座っているだけ。結局ぬいだローブをきちんとたたみ、ティーくんの分もそうしていた。


 喉笛に口付けられた。ぎくりと震える。

「お姫さま、初々しいな」

「……そう?」笑みを浮かべる。「されきさんは、てなれてる」

「ああ。きっと、今まで経験したこともないような夜にするよ」

 ああはいそっすか。

 ……でも、なんだろ。今の、いやな感じ。なんていうのかなあ。とにかくいや。ここから逃げたい。帰りたい。

「なー」リーニくんが腕を振りまわす。「勝負しようぜ。ほら、道具もあるし」

 示すほうを見る。気付いていなかったが、ニスが塗られて黒っぽい箱があった。それも、みっつ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ