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プラスチックのボトルがゆっくりと還元されていくのを見ながら、俺はトゥアフェーノのことについて、みんなに意見を求める。トゥアフェーノを使役できれば、移動速度で足をひっぱりまくっている俺が、スピードを出せるから、捕まえるのはどうだろうか、と。
いい考えだと思ったのだけれど、ほーじくん以外の反応はいまいちだった。トゥアフェーノは夜間に捕まえるものらしいと云うのが、マルジャン達にはあまり魅力的ではなかったらしい。寒いし、俺がまともに使役をつかえるかもわからないという問題点もあって、結局トゥアフェーノ捕獲については宙に浮いた。
一時間と少しの休憩が終わり、幕屋を解体して、俺達は水場から更に西へと向かう。
「あの死体、荒れ地おくりのひと達かな」
気になっていたので、ぽろっと口から出た。隣を歩いているほーじくんと、ほーじくんから少し離れたところを歩いているタスが、こちらを向く。
エクシザがけんと鳴いた。タスが通訳してくれる。
「だろう、と云っている」
「ぼくも、そうだと思う……収穫のひと達は、こんなところまで来ない。来るとしたら、あの人数なら、馬車がある」
成程、それもそうだ。
「多分」ほーじくんは杖を、左手から右手へ移した。「荒れ地おくりのひと達が、協力して、戻ろうとしてたんじゃないかな。ファズダあにさまから、聴いたこと、ある。悪党同士で、そうやって団結することがある、って。でも、ひとりなら、魔物の群れに立ち向かえないし、沢山になっても、ああいうふうに……」
ほーじくんは首をすくめるみたいにした。タスが云う。
「あいつらは、最初は小さくて見えないからな。近寄って、気付いた時には、手遅れになっている」
ああ、あの蟻塚みたいなやつか。
「あいつら、俺達が近付いても逃げなかったね」
「そういうもの……最初は動けるけど、ああなると根を張っていて、もう動かない。大抵の魔法に強いから、弓がなかったら近寄って攻撃するしかなくて、そうなると体力も魔力もなくなる」
うわあ。見た目は蟻塚みたいだけど、蟻地獄みたいなやつなんじゃん。
ほーじくん曰く、目視でわかるくらいになっているものは、恩寵魔法か魔力の魔法でぼこぼこにするか、遠くから攻撃するか、無視するものらしい。行というのは荒れ地の魔物を退治するのが目的なので、ほーじくん達は勿論恩寵魔法で仕留めてきている。
「恩寵魔法しかきかないような魔物が多いから、荒れ地おくりから戻ってこられるひとは、主の加護があったって、ゆるされるんだよ」




