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廃帝花の実……ナタデココみたいな食感で、水っぽく、甘い。香りのないライチの、甘みと弾力を凄くしたって感じ。皮もやわらかくて、食べられる。これ、皮だけをサラダにしてもおいしいかもしれない。
廃帝花の葉……皮は苦いし、かたくてすじっぽく、食べられなかった。包丁でむいて、中身を食べると、ラフランスみたいな食感。水分たっぷりで、沙漠ではありがたいけれど、味はあんまりしないし香りもほとんどない。うっすら、あおくさいかな。おいしいとは云えない味だ。お砂糖とレモン汁で煮込んだらおいしいかも。
廃帝花の花……みつたっぷりで、凄くいい香りがする。さっくりした食感で、甘い!
廃帝花を堪能する俺に、タスは呆れたみたいだった。しかし、そのタスも、廃帝花の実を食べている。その隣では、ほーじくんも、両手でりすみたいに廃帝花の実を持ち、もぐもぐしていた。可愛い。
「これおいしいね」
「うん……」
「俺、はじめて食べたよ」
サローちゃんが栽培したがる理由もわかるな。うん。おいしいもん。
全部とったら悪いけど、魔力恢復の手段らしいから確保しておきたい、三分の一くらいもらっておこう。それなら、繁殖に悪影響とまではならないと思う。それに、ほかにもひとが居るかもしれないから、できる限り残しておかないとね。
ぽいぽい、収穫した。収納空間に放り込むだけなので、簡単だ。実は葉にくっついているのだが、触れるとぽろっととれる。たまに実を食べながら作業した。
水場のまわりをうろついていると、サボテンらしいものも見付けた。細長いやつだ。廃帝花が幅をきかせているので、それは少ししかない。一部、かじられた形跡があった。
ん。
「ねえ」
振り返る。タスとほーじくんは廃帝花の実をまだ食べていて、エクシザは砂のかげでたたずみ、マルジャンとヤラは水たまりをぺちゃぺちゃして遊んでいた。
「この辺、トゥアフェーノが居るかも」
飼育されているトゥアフェーノは、主にドライフルーツを餌として与えられる。
でも、野生だとサボテンを食べる。ダストくんが、こいつらほんとはサボテンが好き、と云っていた。荒れ地近くじゃないとサボテンがないのか、サボテンを腐らせずに持ち運ぶことが難しいのか、村から出ると餌はドライフルーツだけだったが。
そんなようなことを説明しながら、サボテンを検分する。ここのサボテンには、かじりとられたような痕が沢山あった。色が汚くないから、多分つい最近かじられたんだと思う。




