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それがどういう仕組みなのかはわからない。でも、こちらの世界の構造は俺は知らないし、もしかしたら世界が平坦で、端まで行けばなにもなくなるのかもしれない。
そこまで行かせない為に、開拓者が極地をことさら厳しい環境にしている、という可能性も、ないではないと思う。俺が平気なものが、マルジャン達には毒だったし、なんでもありだ。
人間、すごしやすくて危険の少ないところに居たいのが普通だろう。荒れ地の深いところは、昼夜の気温差は凄まじいし、悪しき魂を持った魔物がうようよしている。
ヴェルツも、俺やタスは小さいものならほとんどなんでもないが、大きいものにはてこずる。悪しき魂同士でそれなのだから、そうでない人間には小さなヴェルツでも関わり合いになりたくないものだろう。
だからここまで、普通の人間なら来ない。だから重罪犯は、こんなところに遺棄される。刑罰として充分成り立つ環境、ということだ。
祇畏士がやっていることって、あらためて、相当凄いのだなと実感する。ここまで深いところには来ないだろうけれど、ダストくん達が収穫に行くような地域よりは遙かに東まで向かうのだ。命がかかっているというのは、理解していたつもりだったけれど、全然わかっていなかった。
ほーじくんはそれを、昔からやってるんだ。
太陽が中天にかかり、俺達は簡易の幕屋をつくって休憩にはいる。ヴェルツ達の群れから体力を奪い、それをタス以外に譲渡しているので、みんな昨日よりは元気だった。
経口補水液と氷を配り、タオルで汗を拭う。きがえもした。収納空間には、汗まみれのタオルや服が、沢山ある。きがえがなくなったら、どうしよう。洗うのはいいけれど、砂まみれの服を着たくはないな。あ、魔法で乾燥させてもらえるのか……。
一時間半くらい、そこで休憩した。その間は、完全に休む。見張りはマルジャンとヤラで、エクシザはたらいのお水のなかでじっとしていて、タスも日陰で横たわっている。死んでいるのではないか、と不安になって、何度かメニューを開いてたしかめた。
飛べる三人は、脱水と熱中症になっている。経口補水液を飲ませたり、体力を譲渡するとその表示はなくなるのだが、しばらくするとまたあらわれる。彼らには、荒れ地そのものがスリップ床なのだ。ぐっすり眠れていないのもよくないと思う。
休憩を終える。すぐにヴェルツの群れにいきあって、正直ありがたい。体力をタス以外に譲渡した。タスは三頭、偸利で倒し、ほっとした様子だ。「あとどれくらい保つかわからんぞ」
それは俺も同じ気分だったので、頷くしかなかった。




