3577
ヴェルツの群れが全滅するまで、十分かかっていない。やっぱり魔力はとても低いみたいで、ヴェルツ達は魔法をつかわなかった。多分、小さい奴らは魔法をつかわないのだ。大きいのは爆発を起こしていた。あれは、四散だと思う。
見ているとぼーっとするのはあるのだが、それはほーじくんがたまに声をかけてくれて、なんとかなる。ヴェルツが魔法らしいことをしているのはそれくらいだ。それも、正確には魔法じゃなく、パッシヴスキルなんだと思う。
そういうふうに、勝手に発動するスキルは沢山ある。おれの職業加護もそんなもんだ。
ヴェルツ達の死体は、タスがほとんど還元した。二頭、エクシザがその場で食べている。エクシザは俺の世界で相当つらい思いをし、かなり痩せていたみたいだから、そんなふうにがっついても仕方ない。
ヴェルツから体力を奪い、タス以外のみんなに分け与える、というのは、かなりうまくいった。みんな、動きがなめらかだ。俺自身も、日焼けの痛みがやわらいで、ありがたい。日焼けって、火傷みたいなものなんだなあ。実感した。
風が強くなってきて、俺達は砂の丘を風よけにしてゆっくりとすすみ、日が暮れるまでにもう二回、ヴェルツの群れを退治した。ほーじくんが居るから、滅却もしてもらえる。ありがたい。
その日も、幕屋をつくってそこで横になった。かなり粘ったのだけれど、やっぱり夜の寒さはつらかったのだ。鼻も指も凍りそうで、まともに歩けない。
幕屋のなかで、服をきこみ、毛布にくるまって、俺とほーじくんはくっついて眠った。今度はほーじくんも、あんまりいやがらなかった。
見張りは、タスとエクシザが交代でしてくれた。エクシザは夜のほうが頭がはっきりするみたいだし、タスは寒いのには強いらしい。
寒さでそこまでしっかり眠れなかったけれど、ほーじくんの体温はありがたかった。
翌日も、時折休憩をはさみ、ヴェルツを倒し、西へとすすむ。砂は熱いし、あしがとられるし、なにもいいことはない。
自分の気力がなえそうで、おいしいものを食べた。メロンやすいかをむさぼって、マンゴーやパパイヤを食べて、レタスが大量にはさまったローストビーフのサンドウィッチを食べ、薫り高いぶどうジュースを飲む。ほーじくんには、雑穀のクラッカーや、青菜のサラダを食べさせた。おいしいもの食べないとやってられない。エクシザは、相変わらず生肉をほしがるし、ヴェルツはかなりおいしいみたいで喜び勇んで食べていた。
西へ近付くにつれ、気温は下がったみたいに思える。気の所為ではない、と思う。




