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「ほーじくんに魔力薬をあげる、っていうのも、だめだからね」
云われる前に断っておく。「ひとりで行動するってことは、戦うのも補給するのも全部ひとりってことだよ。ヴェルツの群れに襲われて、ひとりで戦って補給してって、できる?」
「……できる」
う。いやたしかに、魔力万全状態のほーじくんなら、できなくはないか。清絶がもの凄い威力だもんな。恩寵魔法は悪しき魂にききにくいっていう話を聴いたことがあったが、偸利をつかってわかったのは、ヴェルツは魔力が低いってことだ。ほーじくんは魔力:優。属性の問題じゃなく、単純に、魔力で大幅にうわまわっているから効果が高い。
でも、巨大ヴェルツはどうかわからないし(俺は戦ってない。エクシザとタスでぼこぼこにして、還元してしまっている)、ほーじくんの魔力が尽きて魔力薬も尽きて、となったら、大変なことだし……。
なにか、単独行動を停めるようなことを云おうとする俺に、ほーじくんは頷いて、再び横になった。
「わかった」
俺は肩すかしをくらって、かたまる。どうして納得してくれたんだろう。
ほーじくんは低声で云う。
「マオが心配で、ぼく、またへんなことしちゃうと思う。だから、マオと一緒に居る。マオのことまもる」
そんなふうに可愛い、甘いことを云って、ほーじくんは目を瞑る。
俺はどぎまぎしながら横になった。なんだか、ほーじくんにはペースを乱されてしまう。それが嬉しいって云うのが問題なんだけど。
うとうとはできたが、眠りは浅く、体が熱い。日焼けってこんなにつらいのか。真夏の砂浜で五・六時間遊んでも大丈夫な体質だから、わかってなかった。
多分、一時間半くらいかな? 照りつける太陽が少し西に傾くまで、俺達はじっとしていた。タスは途中でマルジャンとヤラに見張りをかわり、涼しいところで横たわっている。
ほーじくんもタスもエクシザも、かなりきつそうだ。体をひやす薬、って、ないからな。マルジャン達がつめたいお水や、氷を出してくれているけれど、気温が高いからそれも焼け石に水って感じだ。
それでも、ある程度するとタスは起きて、俺達はテントを解体し、再び歩き出した。「タス、考えたんだけど」
「なんだ」
「ヴェルツって、魔力は低くても体力はそれなりだから、偸利で体力を奪わない? タスはそのままでいいし、俺はそれを、みんなに分けてあげられるし」
数歩前を行くタスが肩越しに、ぎょろっと俺を睨んだ。
「お前もまともなことを云うらしい」
「それはどうも」




