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氷を嚙む。経口補水液は、溶けた氷で味が凄くうすくなっている。
「ほーじくん、歩かせて、ごめんね」
「ううん」ほーじくんは緩慢に頭を振る。「チャタラが、治療、してくれるし。マオと一緒だから、つらくない」
そんな可愛いことを云い、ちょっと笑ってくれた。俺もつられて微笑む。
マルジャン達が顔をつっこんでいるボウルに、氷を追加した。
「ちょっと、訊いてもいい?」
「……なあに?」
「エクシザとか、タスとか、彼らもほーじくんが封印したの?」
ほーじくんは経口補水液をひと口飲んで、頷いた。
「多分、そうだと思う。沢山封印したから、はっきりとは覚えてないけど……ホートリットや、レットゥーフェルは、封印してる」
「そっか。凄いね。レットゥーフェルの群れを、封印できるなんて」
ほーじくんは小さく頭を振る。
「全部じゃないから。半分は、逃げた」
あ……レットゥーフェルの群れ、あれで半分だったんだ。
そっか、それでか。タスが、レットゥーフェルの王のままなの。ひとりで「王」もないもんな。だから、こちらに居る群れの残りも加味しての、王、なのだ。成程。
ほーじくんはもそもそ、云う。
「ぼくは、あんまり、ちゃんと戦えなかった。マオのことばかりで、ほかはおろそかになってて……」
ちゃんと戦えなくても、レットゥーフェルの群れを半分封印できるらしい。俺はほーじくんのせなかを優しく叩き、今のはタスに云わないであげてね、と云っておいた。ほーじくんはきょとんとしている。
タスが偵察から戻った。「ヴェルツが一頭」
って、ことは、巨大ヴェルツだ。いやになる。
とはいえ、そいつは北方向へ移動しているし、俺達は休憩中だ。そいつがかなり離れたくらいで移動を再開しようということになった。だからそれまで、ゆっくりする。
おやつを食べることにした。次、いつ休憩するかわからないし、そもそも移動が結構ハードで、みんな空腹なのだ。
内容は、くだものが中心だった。暑すぎて、みんな水分を多く求めている。ただ、エクシザだけは、かわらず生肉をほしがった。塩分が失われないように、お塩も忘れない。
おやつがすむと、タスが見張りを買って出てくれて、残りはちょっとだけ眠った。日が暮れてからも、行動できそうな気温ならしばらくは移動を続けることにしている。それに備えた。
大体、この暑さ、起きているだけでも体力を消耗する。飛べる三人はもとから体温が高いみたいで、特に疲れが見えた。これなら、やっぱり夜移動のほうが安全だったかもしれない。でも、夜は夜で、体がちぎれそうに寒くなるし。




