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荒れ地はひろい。きちんとした地図が作成されないくらいに、危険も多い。
単に、ひろいから、じゃないのだ。魔物が多く、危険で、ひとが簡単に住める環境でもないから、地図が作成されていない。
それを身をもって理解した。
最初のほうこそ、時間はかかってもすすんではいたのだが、太陽が高くなる程、魔物が出てきて俺達のあしは停まった。ヴェルツは日光なんてなんでもないみたいで、ぴょんぴょこ跳ねまわってやってくる。
三回、清絶に偸利の追撃、でヴェルツの群れを片付け、太陽が中天に至ったので、俺達は簡易のテントのようなものをつくって日差しをよけることにした。マルジャン達の頑張りで木材を建て、紐を渡して、布をかける。遮光カーテンでも買っておくのだったと後悔する。もとの世界、役立つものがいろいろあったな。キャンプ用品とか、サバイバルキットとか、買っておけばよかった。
日陰にはいると、体感だが五度くらい違う。地面があっという間にひえて、すごしやすくなった。
俺とほーじくんは、日焼けで肌が大変なことになっている。ヤラが頑張って治療してくれたので、事なきを得た。
俺は日焼けしづらい体質なのだが、俺よりも日焼けしない母から聴いた「一度だけ日光にあたりすぎて、肌はなんともなかったけどその夜からだが痛いような熱いような感じがして寝られなかった」という話を思い出し、ちょっとこわくなっている。
俺よりも大変なのはほーじくんで、肌が赤くなって一部皮がむけていた。うー痛そう。ヤラの治療でなんとかなっているが、大怪我をして貧血状態のほーじくんに、そもそもこの強行軍はつらいと、その段階でようやくと気付く。
全員に氷いりの経口補水液を配り、エクシザにはつめたいお水を張ったたらいも用意した。マルジャンの協力でだ。エクシザはぐるぐる唸りながら、たらいにはいる。エクシザは体温が高いみたいで、時間が経つごとにどんどんつらそうになっている。
「エクシザ、ごめんね。体力、ちょっと分けてあげる」
エクシザがぐーっと鳴いた。ありがたいと思っているみたいだ。
タスは氷をばりばり嚙み砕いて、日陰から出ていった。「タス?」
「西方向を偵察してくる。祇畏士、魔力は温存しておけ」
「うん」
ほーじくんはタスの言葉に素直に頷いて、タスはちょっとそれを見てから飛びたつ。なんとなく、含みがあるみたいな感じがした。
そういえば……タス達レットゥーフェルも、ほーじくんが封印したんだろうか。レットゥーフェルを、群れごと?




