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それは、あれだ。コマちゃんが、自分の使役には数の制限があるって云ってた。それじゃないかな。ほーじくんの封印は、数に制限があるってことではないだろうか。
ほーじくんは顔をしかめる。自分の伝えたいことを、うまく云えない。そして、それがとてももどかしい。そんな表情だ。
俺はほーじくんの腕を軽く叩いた。ほーじくんはほっとしたみたいな顔をして、小さく頷く。
「袋を持ってて……そのなかになにか、いれたような感じ」
「うん。わかるよ」
ほーじくんの云いたいことは理解できた。やっぱり、数に制限があるのだ、ほーじくんの封印には。
ほーじくんは、俺がわかると云ったからか、安心したみたいだ。小さく頷いて続ける。
「それで、そのたびに、魔力が減る気がする。少しだけど。それで……でも、いれる時に疲れるだけで、それからは関係ない」
頷いた。成程、ダストくんタイプの収納空間みたいな魔力消費の仕方なのか。封印をつかった瞬間は疲れるけれど、それ以降は魔力をつかわない、と。
ほーじくんはハーブティをすする。「おいしい」
「おかわり、あるよ」
「うん……マオが居てくれるから、なんでもおいしい」
ぐ。可愛い。
ほーじくんのほっとしたような表情に、ボディブローをくらった気分になる。ほーじくん、無自覚でそれはいけん。気を付けないと、別のひとにとられそう。それはやだ。
ほーじくんは俺のもやもやした気持ちには気付かず、続ける。
「書架は、なかなか、埋まらない。凄く、大きい気がする」
「うん」
「でも、なんとなく、思った。それは、確実じゃないけど……書架を埋めて、全部。全部埋めて、それでも封印をつかおうとしたら、その時には、最初の封印が解けるのじゃないかなって」
……ああ。
ああ、そうか。そういうことか。
じゃあ、ほーじくんは、自分の意思で封印を繰り返していたんだ。
封印をどんどんやって、もう封印できないっていうところまでいってもまだ封印をしようとしたら、一番最初の封印……俺の封印が、解ける。ほーじくんは、そう考えたってことだ。
それが事実かどうかは、多分ほーじくんには関係なかったんだと思う。それは、俺にも、少しはわかる。封印が解除されたらこちらに戻る、というのは推測だったし、それが正しい保証はなかった。それでも、その希望にすがった。そう考えて、こちらで役に立ちそうなものを買うとか、そういう行動をした。
ほーじくんも、それに近い気持ちだったんだろう。それよりももっと、切実で、俺よりももっと孤独に、すごしてたんだ。
感想ありがとうございます。はげみになります。




