表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3693/6870

3552


 ほーじくんは、だいぶ体調がよくなったといえ、まだ腕の動きなどにぎこちないところがある。だから、お風呂を手伝ってあげたかったのだ。

 それなのに排除され、俺はちょっとすねていた。綺麗に体を洗い、俺の用意した服を着たほーじくんが戻ってきても、口を尖らせている。タスが衝立の向こうから云う。「わたしも湯浴みをしたい。魔王、せっけんをくれ」

 レットゥーフェル、せっけんつかうんだ。

 それで驚いて、不機嫌はどこかへ行ってしまった。俺は半笑いで、固形せっけんを衝立の向こうへ投げる。

「足りなかったら云って」

「ああ。チャタラ達も洗ったほうがいいか?」

「うん、ありがとう」

 タスは鼻を鳴らし、マルジャンにお湯を要求していた。


 ほーじくんがおずおずと、俺の側に来て、斜め前辺りに腰を下ろす。髪も羽も乾いていた。マルジャンかヤラが乾かしてくれたのだろう。

 俺は収納空間から、キャンデリラワックスとマカデミアナッツオイルからできたバームをとりだした。おしゃれな木製容器にはいっている、高級品だ。妹が手配したもののなかにあった。

「これ、つかえないかな、羽に」

「あ……ありがと……」

 ほーじくんは容器をうけとって、スクリュウ式の蓋を苦労して外す。鉤爪みたいな鋭い爪の指で中身を掬い、検分していた。お眼鏡にかなったみたいで、(てのひら)に伸ばし、羽にちょこちょことつけている。

「大変だね、お手入れ」

「ん……まあまあ」

 ほーじくんは自然に微笑み、俺も微笑んだ。けれど、ほーじくんの微笑みはすぐに消えてしまう。

 ほーじくんは俯きがちに、羽のお手入れを続ける。俺はタスが着ることのできそうなものを一式揃え、衝立の向こうへ行く。タスは顔の右側を見られたくないみたいで、かぶとは外していなかった。「きがえ、どうぞ」

「ありがとう」

 頷いて、もとの場所へ戻った。ほーじくんは項垂れている。

 お握りやサンドウィッチなど、片手ですぐに食べられるものもとりだして、膝に抱えた。ちらっと見ると、エクシザは砂浴びを終えて、魔物をついばんでいる。あの、複数であらわれた、跳ねるやつだ。おいしいのかなあ。まずそうなんだけど。

「魔王」

 タスが衝立の向こうから出てきた。きちんと服を着て、羽はつやつやしている。俺は別のバームをとりだす。「要る? 脂」

「必要ない。わたしとホートリットは、少しこの辺りを見てくる」

 エクシザがタスを見て、抗議らしい声をたてた。目付きも鋭い。タスがそちらを見、エクシザはかちかちとくちばしを鳴らす。


誤字報告ありがとうございます。たすかります。

感想ありがとうございます。はげみになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
[良い点] とりあえず皆キレイになって良かった良かった [気になる点] ほーじくんの乙女心もとい男心をわかってあげてマオ [一言] エクシザが食べてる想像力に挑戦してくる魔物の味が気になる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ