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 ほーじくんははずかしがって服を脱ごうとしない。俺は大きなたらいをとりだし、そこへ粉せっけんと熱湯を注いだ。マルジャンがやってきて、ほーじくんを示し、顔を前肢で覆うような仕種をする。見たくないものを見せてやるな、ということだろうか。

 俺は肩をすくめ、背凭れの高い椅子を三脚とりだした。それを並べて配置し、布をかぶせると、簡易の衝立だ。ほーじくんと俺との間にそれはある。「これでいい? マルジャン」

 マルジャンはほっとしたみたいに頷き、衝立の向こうへ行った。ほーじくんに、安心していいよ、とでも云っているのかもしれない。

 俺は下も服を脱いでしまうと、お水で温度をぬるめに調整してから、たらいにはいりこんだ。体を洗う。荒れ地の環境に配慮するような高い意識は持ち合わせていない。でもまあ、大丈夫でしょ。

 炭酸塩いりのせっけんだったので、体がちょっとひりひりする。でも、血は綺麗にとれた。髪がきしきしする。


 たらいのなかで立って、丁度いい温度のお湯で泡を流していると、呆れたような声がした。「荒れ地で湯浴みか」

 タスだ。俺は肩をすくめる。

「血がついてたから汚いでしょ。病気になる。あ、このたらいの中身、還元してもらえる? たらいは還元しないでね」

 タスは目をぎょろっとさせ、溜め息を吐いてからそれをしてくれた。役立つ。

 体を拭いて服をきこみ、サンダルを履いた。むちゃくちゃに紐をかけ、適当に結ぶ。片足ずつそれをやって、また、たらいにせっけんとお湯をいれる。「ほーじくんの番だよ」

 簡易衝立の向こうを覗くと、ほーじくんは膝を抱えて耳を塞いでいた。どうかしたのかな。


 洗ってあげると云うとほーじくんに猛烈に拒否され、ちょっと傷付いた。タスが呆れたような声で、お前はこちらに居ろと、さっきまでほーじくんが座っていた辺りを示し、ほーじくんの腕をひっぱってたらいへとつれていく。

 俺はしばらく正座していた。タスはレットゥーフェルで、レットゥーフェルは羽がはえている。同じく羽のあるほーじくんのせなかを流すのは、タスのほうがうまいかもしれない、と思ったのだ。

 だが、はっとして立ち上がった。そうすると、衝立の向こうが少し見える。向こうからも俺が見えるようで、ほーじくんがひっと息をのむのが聴こえた。

「ほーじくん、恩寵魔法しかつかえないよね? お湯、足りないでしょう」

「チャタラ、手伝え」

 タスが云い、マルジャンとヤラがとんでいった。そこまでして俺を仲間はずれにしなくてもいいじゃんか。

 むっとして、俺はその場にあぐらを掻き、口を尖らせていた。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
[良い点] いや魔物的にもそういう感じなんだなwwww
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