表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3689/6868

3548


 ゆるゆると、意識が戻ってくる。声がする。誰だろう。


 息を吸いながら上体を起こした。「マオ」


 くらくらするのがすぐにおさまって、俺は自分の手を見る。それには、鋭い爪をした手が重なっている。

 ゆっくりと顔を上げた。

「ほーじくん」

「マオ」

 ほーじくんはそう云って、緩慢な仕種で俺を抱きしめた。

 ほーじくんの体温は高い。穀物みたいな香りがする。ふわふわした羽毛が、手に触れる。濁った白の羽が俺の体を包む。

 ほーじくんだ。

 本当にほーじくんだ。

 どうしてそんなことをしたのかわからない。俺は泣きながら、ほーじくんに口付けていた。


 気分が悪い。泣くのなんて、きらいだ。

 俺はまだすすり泣き、手巾で洟をかんだ。ほーじくんが心配そうに、俺のせなかを撫でてくれている。「ごめんね、マオ」

「ううん」

「ぼくが、マオにひどいことしたから、だからマオ、哀しい?」

 ほーじくんはそう、たどたどしく云い、ひくっとしゃくりあげる。ほーじくんも涙ぐんでいるのだ。ほーじくんにそんな表情をさせたくなくて、俺は泣きやもうとしているのだが、うまくいかない。どうしても涙が出てくる。

 もう一度洟をかんで、びしゃびしゃの手巾は収納した。

「違うよ。ほーじくんは悪くないから」

「まお……」

 ほーじくんは小さな子どもみたいにか細い声を出して、それなりの腕力で俺を抱き寄せる。エクシザがぐるぐる唸っているのが聴こえた。「エクシザ、静かに」

 ぶーっと不満げな音をたて、エクシザは静かになった。

 俺とほーじくんの傍では、マルジャンとヤラが所在なげにたたずんで、時折目をかわしている。エクシザはそれよりも離れたところで、不満を全身であらわしながら砂浴びしていた。

 荒れ地の表面には基本、なにもない。あるのは延々と、砂だけだ。たまに岩塩が見付かる。地中深くには植物があるみたいで、そういうものを食べる小さな動物や虫を、もう少し大きな動物が食べる。肉そのものではなく、それに宿った魔力を摂取しているグループも居るそうだ。

 幾つか、大きな水たまりみたいな水辺があり、その近辺にはサローちゃん垂涎の廃帝花など、荒れ地で育つめずらしい植物や、サボテンなどが育っている。トゥアフェーノが食べるのは主にそれで、だからトゥアフェーノの行動半径は収穫に行くひと達にもわかっている。

 そういう諸々は、御山(おんやま)の図書館からかりだした本に書いてあった。要するに、砂まじりの風をしのげる洞窟などはない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
[良い点] だんだんエクシザも可愛い気がしてきた [気になる点] もっとチューしてもいい [一言] 無事にみんなと再会できますように
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ