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ああまあいきがいいほうがそりゃあおいしいけど、エクシザまじで、レットゥーフェルのことおいしいと思ってるんだ。うへえ。
俺は半笑いで、せなかをまるめた。つらい。すぐにでも寝たい。どうしてこんなことやってるんだろう。
「じゃあ、エクシザが君を食べる前に訊かないと」
「きく」
「うん。残党が居ないかとか、いろいろ」
レットゥーフェルはぶっと鼻を鳴らす。「皆、死んだだろう」
「え、どうしてわかるの?」
「助けを呼んだ。しかし、誰も来ない。声もしない」
成程。
レットゥーフェルは、動けなくなった味方を還元してたけど、多分助けを呼べるくらいなら助けに来るのだろう。偸利をつかえるらしかったから、ってことは、生きもの(植物含む)が居るところへつれていけば助かるってことだもの。
ふふっと笑ってしまった。
「災難だね。ああ、俺がやっといて、なんだけどさ」
「仕方のないことだ」
レットゥーフェルはくぐもった声で云う。「わたし達が、お前をみくびった。力量も測れぬなら、死んでも文句は云えない」
随分、割り切っている。侮辱に怒り狂っていたのを見ても思ったが、相当「強さ」「賢さ」に重きを置いているらしいな。それで負けたら、素直に認める、と。だから、俺が近付いていっても、偸利をつかわないんだろうな。完全に負けだと思っているから。
エクシザ達にも偸利はつかって居ないんだろう。じゃなきゃ、幾らくいしんぼうのエクシザだって、こうしてこいつを生かしていない。
「俺、約束破って、卑怯な手で勝ったけど」
そう云ってみる。レットゥーフェルはまた、ぶっと鼻を鳴らした。「多少の不意打ちで、負けるのは、弱いからだ」
そうっすか。
俺は溜め息を吐く。
「お兄さん達を殺しちゃって、ごめん」
「戦いを挑んだ。殺そうとしたのだ。殺されても、しようがない」レットゥーフェルは呻く。「兄は、逃げなかったか?」
「うん。最後はふたりで、落ちちゃった」
「そうか……」
レットゥーフェルはちょっと、笑ったらしい。満足しているようだ。逃げていきのびるくらいなら、死んでも最後まで戦うのが名誉だと、そう思っているのだろう。俺には一生理解できない感覚だ。どう考えても、逃げていきのびたほうがいい。
咽が渇いた。
収納空間から、お水をとりだして、飲んだ。その辺に口を開いて、お水を出したのだ。「飲む?」
「末期の水か」
まじで賢いのな。
俺は頭を振って、レットゥーフェルの口にお水をかけた。レットゥーフェルは、口をもぞもぞ動かす。「ありがとう」
「あのさ」
ちらっと振り向いて、エクシザを見た。俺の表情で、意図を掴んだらしく、不満げな顔になっている。
レットゥーフェルへ目を戻した。
「使役される気、ない? ちょっと、訊きたいこともあるし、時間がほしいんだ」




