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 ざっと目視できるだけで、三頭はやってきた。はばたき、優雅に旋回して、最初のレットゥーフェルの傍に滞空する。耳障りな声が複数聴こえてくる。

 これで、レストランにおしいろうとしていた奴らは、全部なんだろうか。もっと数が居るかもしれない。もういやだ。

 肩越しに背後を見た。還元で、素が屋内にもはいりこんできている。あちらで見る還元よりも、素の量は凄まじい。

 素材の問題なのだろうか。あちらにはないものでできているんだろうな、この建物。石油見たことないし、だからアスファルトとかないだろうし、こういう建物で用いられる接着剤もあちらでは再現できないものかもしれない。断熱材とかさ。どういうものでできてるのか、具体的には知らんけど。

 でも、還元するともとの量からすると信じられないくらい大量の素になるんだから、やっぱりあちらのものとは根本的になにかが違うんだ。そういえば、サキくんがはちみつのプラスチックボトルを還元した時も、あのサイズにしては不自然なくらいに素が多かったっけ。大量の素の向こうで、倒れたミューくんに気付いて、俺は吃驚仰天してしまったものだ。

 懐かしいことを思い出してるな。もしかしたら、死ぬ間際に記憶が走馬灯のようによみがえるという、あれかもしれない。

 そんなの絶対にごめんだ。


 へたりこんでいる人々、うずくまっている人々、まっさおになってもまだ立っている人々、倒れて動かない人々、みんな窓から一番離れた、玄関扉前にかたまっている。

「レストランには、まだこいつらが?」

 誰も返事しない。

 妹がひとをかきわけ、レストランへ走り込んだ。「水佳!」叫ぶ俺の後ろで、ごとんといやな音がする。

 振り向くと、窓の上部に大きな穴が開いていた。雨が吹き込んできている。夏だからって、こんなことしたら寒いし、あとから原状回復が大変だろうが。

 そこまで考えてたら暴れないか。

 レットゥーフェルのなかには、ほかにも還元をつかえるやつが居るみたいで、窓の左右にも還元を繰り返している。俺は息を深く吸う。素が体にとりこまれますように。

 偸利にはそんなの関係ない話だった。あいつらから奪うんだもん。

「禍殃。偸利」

 最初から居るレットゥーフェルを狙った。そいつが一番弱っているからだ。だからそいつから殺す。

 たまたま、窓から距離をとっていた俺は、窓越しではなくて、その上に開いた穴の向こうに、目標を見ていた。それがよかったらしい。俺の挑発にやすやすとのって、仲間を呼び寄せたらしいレットゥーフェルは、ぎゃっと叫んで墜落した。

 おつかれ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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