表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3652/6868

3512


「ありがとうね」

 妹が三人に、やわらかく云う。「寒いでしょう。わがまま云って、ごめんなさい。これはわたしと兄でなんとかするから、あなた達ははやくきがえて、あたたかいものでも飲んで。ほんとにごめんね。ありがとう」

 三人は口々に、いえ、とか、こちらこそきちんと連絡できていなくて、とか云いながら、水のしたたるかっぱを脱いでハンガーにかけ、そのハンガーを出入り口近くのラックに掛けて、ぺこぺこしながら歩いていった。俺達はそれを見送り、息を吐く。

 気のぬけた声が出た。

「この間、もうあったんか」

「やって」

「気付かんかったな」

 妹は頷いて、くいっと肩をすくめる。

「ほかにもいろいろあるし、倉庫の奥の端っこにあったから、運び込んだひとくらいしか知らんわ。わたし達は、カカオの木やって、見てもわからんしな」

 妹は溜め息を吐いて、カカオの苗木を示した。「わかる? お兄ちゃん」

「わからんわからん」

 俺は苦笑いで、床に収納空間を開く。


 さいわい、東の端は本来従業員しか立ち入れないところみたいだし、妹が俺の後ろにまわって見張りをしてくれた。誰も居ないのをたしかめ、収納する。監視カメラはあるそうだが、死角にはいったのでそれも問題はない。

 よし。カカオの苗木、手にはいった。耕作人や、農芸者を、うまいこと雇えればいいけど、どうなるかな。

「それぞれ違う種類やって。ああ、それと、あっちに別の荷物も置いてある」

「え?」

 妹が指さすほうを見た。

「おじさんが注文したものがいろいろ。チョコとか、ノート類とか……お塩が何種類もあったわ。お兄ちゃん、お塩高いって云うてたやん?」

 ああ、そんな話もしたっけ。

 妹の案内で歩くと、段ボール箱が大量に置いてある場所に着いた。そのうちのほぼすべてが俺のものらしい。これらは、倉庫ではなくこの建物(本館とでも云うかな)のなかへ運び込まれ、そのままになっていたそうだ。さっきカカオの苗が見付かったタイミングで、「ほかにも連絡もれがあるのでは?」とたしかめたら、案の定だった、とのこと。

 箱の中身をたしかめると、岩塩とか、海塩とか、藻塩とか、パック詰めされたものがいろいろあった。箱ごと収納する。

 お塩だけでなく、お味噌やお醤油、かつおぶしなどもある。おじさんが手配したものもだし、俺が注文したものも届いていたのだ。忘れてたわ。

 裾野では手にはいりにくかった調味料(お塩、お味噌、お醤油など)をはじめとして、高級チョコレートや高品質な油脂類、近くの高原でつくられているバターなど、俺があちらに居てほしかったもの、高いと思っていたものが揃っている。そうそう、チーズなら沢山手にはいるけど、バターはほんのちょっぴりで凄い値段なんだよ。

 寒天やゼラチンのパウダー、それに食材だけではなく、文房具も沢山。おじさん、有能すぎる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ