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 おなかがだいぶ満足したので、ほんとに歯を磨いて、お手洗いを出た。ロビーに戻るが、妹は居ない。

 ケータイをとりだし、メッセージを送った。反応はない。ケータイを携帯する意味がない、じゃなかったっけ?

 フロントの女性に訊くと、おじさんの要請でどこかへ行ったらしい。なんだろ。

 しばらく、なにも考えずにぼーっとしていると、妹から電話がかかってきた。すぐに、建物の東の端まで来いという。はいはい、兄ちゃんは逆らいませんよ。


 廊下を歩いて、東まで行く。廊下の窓はすべて、外が見えなくなっていた。雨戸が存在しているのだ。お部屋にもそれはあるんじゃないかなあ。俺達が出ていく段階でも、従業員達は作業していた。各窓の雨戸を閉めていたんだと思う。雨戸があってもがらすの保護をしない理由にはならない。

 東の端まで行くと、呼び出された意味がわかった。そこには通用口があって、その手前に妹が陣取り、かっぱを着て雨に濡れた従業員……白石くんが、なにかの苗木を支えている。

 見たことのない葉っぱで、木肌だった。鉢に植えられている。ひょろっとしていて、若そうだ。

「これって……」

「カカオの木」

 苗木を見て云う俺に、妹は不機嫌な声で答えてくれる。「あとふた鉢、運んでもらってる。届いてたのに、連絡が行き届いてなくて、倉庫の奥のほうにしまってたって」

「あらら」

 妹は不満げだが、俺は苦笑いで白石くんへ頭を下げた。「ごめんね、ありがとう。台風で危ないのに」

「いえ、こっからだと倉庫まですぐなんで」

 白石くんは首をすくめる。妹は口を尖らせている。


 台風で、倉庫にあるものが飛ばされたりしたらいけないと、何人かで点検にはいった。それで、リストと実際にあるものとを比べていたら、謎の植木鉢がみっつあった。全員、何日か前に運び込んだけどこれはなんだっけ、とわからず、担当者や支配人などに問い合わせたところ、おじさんがとりよせたカカオの苗木だった……ということらしい。

 で、おじさんに連絡がはいり、おじさんから妹にメッセージが来て、妹が倉庫まで(!)確認に走った。で、俺にすぐにでもひきわたすべきと判断して、運んでもらったそう。今は、少しだけだが、風もゆるんでいる。このあとこういう凪(でもない。扉が開く度に、猛烈な風が吹き込んでいる。これでもましなほうだ、というだけだ)が来るとも思えないし、と妹は云っていた。

 すぐに、別の従業員さんが、残りの鉢を運んできた。俺はそのふたりにも、謝罪とお礼を伝える。カカオのことは本来のお仕事とは違うものだし、連絡にミスがあっても仕方ない。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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