3505
魔力薬でおなかがちゃぽちゃぽしてきたので、うちどめにした。収納空間内のお水は随分増えているだろう。どうせここに足止めされているし、また時間があったらお水をためこんでおくかな。マルジャン達も、自分達にとって毒らしい雨に、当たり続けたくはないだろう。
マルジャンとヤラにもう一度、魔力を少しずつ分けた。「ありがとうね。もし、雨がつらかったら、雨宿りさせてあげられるけど」
妹がうんうん頷いている。かなりマルジャンを気にいったみたいだ。
「おっていいよ」
マルジャンはちょっと首を傾げるみたいな仕種をして、ふるふるっと頭を振った。
もしかしたら、建物のなかに居るのも、それはそれでつらいのかもしれないな。細かい意思の疎通が不可能なので、わからない。
「そう。じゃあ、なにかあったら、そこの軒の下まで来て。俺の居場所はわかるよね」
マルジャンは頷く。使役されていると、使役主の場所はわかるというのは、いつかどこかで得た知識だけど……どこだったっけ。
窓を開けると、マルジャンはひょいっと外へ出ていった。一回こちらを振り向いて、ひょこっとお辞儀のような仕種をすると、走っていった。
おそらくだけど、魔法で雨をはじいているか、即座に乾かしているみたいで、目で見ている限り濡れた様子はない。前、マルジャン達を洗ったから知ってるが、濡れたら色がかわるからわかる。
マルジャンが松林に消えてしまうと、窓を閉めた。さっきまでマルジャンに手を振っていた妹が、ケータイを充電器につなぎながら、にこにこして云う。
「可愛いやん、あの子。いい子がおってくれてよかったね、お兄ちゃん」
「ああ……」
女子の感覚わからん。いやいや、マルジャンはいい子だと思うよ。でも、手放しで可愛いって云えるとは思わない。
妹はけれど上機嫌だ。一緒にお風呂はいる? などと訊いてきて、俺はむせながら丁重にお断りした。
大雨なので、温泉は濁りに濁っている。これって汚くないのかなあと、雨の時だけ気になる。成分的に殺菌作用もあるみたいだし、神経質になる必要はないのだろう。でも不思議だな、大雨が即座に反映されるなんてさ。
妹が突入してこないよう、きちんと施錠して内風呂につかり、しばらくくつろいだ。エクシザがまたむちゃくちゃをしたら、また魔力を奪う。それでも態度があらたまらなかったら、それはもう仕方ない。可哀相だけど、殺すしかないだろう。
浴槽でうとうとしてしまって、死にかけた。お風呂から出ると、寝間着を着て、布団へもぐりこむ。明日は一日中寝ていたい。
誤字報告ありがとうございます。助かります。




