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だからわからない。
ほーじくんがやっているとしても、封印をつかえるひとがほかに何人か居てそのひと達でやっているとしても、祇畏士協会や神聖公の命令なのだとしても、よりによってどうしてニーバグなんだ?
マルジャンはふかし芋を、大きいのを一本、小さいのを一本食べた。皮が食べにくいのか、食べたくないのか、口からぶらさがっている。指でつまんでとりのぞくと、マルジャンは頭を軽く下げた。それから、木の根をがじがじして、のみこむ。だいぶ元気が出たらしい。
結局、どうしてニーバグなんて封印するのか、という疑問に、それらしい答えは出ていない。のっぴきならない事情、という言葉が脳裏をかすめたけれど、どんな事情なのかまったく思い付かないのだ。凶暴化? ありえない。修復者のお気にいり、大地の精霊だぜ。過去、そんな話は一度もない。そんなことがあったとしたら、知る機会は幾らでもあった。猫の爪を採りに行った時だって、御山で駆使魔法の授業があった時だって。
魔王がたったらニーバグが一斉に凶暴化する、だからニーバグを駆使するなんて危険だって書いてる本もあったけど、魔王封印されてるっつの。
マルジャンにはだいぶ、いろんな質問に答えてもらった。言葉は通じないけれど、動きや鳴き声でなにか伝えようとしてくれたりもしたのだ。「ありがとうね」
お水を小さなボウルに注いで置くと、マルジャンはぺちゃぺちゃと舐めるみたいにしてそれを飲んだ。勿論、塩素がマルジャンの体に悪影響かもしれないので、あちらの世界で買った、魔法で出したお水だ。
幾ら雨降りといっても、チャタラ達にも飲みたいお水と飲みたくないお水はあるらしい。随分、咽が渇いた様子だった。ボウルはすぐにからになり、俺はお水を追加する。マルジャンはそれも、ぺちゃぺちゃと舐める。
もしかしたら、こちらの世界のお水は、単なる雨水でも魔物には毒なのかもしれない。ここに呼び出した時、マルジャンはほとんど濡れてなかったし、雨宿りしてたのかな。魔法はつかえるみたいだから、お水くらい出せるのだろうけれど、エクシザに付き合わされて疲れたらそれもできない。ああ、雨のなかで狩りを手伝わされたのも、いやだったのかな。
三頭から状態異常をもらい、マルジャンとヤラには魔力を多めに分け、エクシザからは死なない程度に魔力を奪った。加減はできている筈だ。使役は優秀である。呼び出しての説教よりも、問答無用で魔力を奪うほうがエクシザには効果的だろう。
誤字報告ありがとうございます。助かります。
感想ありがとうございます。はげみになります。




