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 仕方がないことだ。妹の頑固さは折り紙付きである。なら、俺はできることをするだけだ。

 俺は窓と出入り口の錠を確認してから、座った。きちんと施錠してある。チャタラとの会話に夢中になっている時に、誰かが間違ってこのお部屋に這入ったら、大変なことだ。雨で外の物音はあまり聴こえないし、そういった事故が起こらないとは限らない。

 呼吸を整えてから、使役している三頭の状態異常をひきとる。これをしておかないと、具合が悪いマルジャンを妹に見せることになる。状態異常で苦しんでいる魔物は、あんまり見ていたいものじゃない。

「マルジャン、おいで」

 しゅっと、じゅうたんの上にマルジャンがあらわれた。妹が小さく震える。

 俺がそれを見ているのがわかったか、妹は姿勢を正した。

「なに?」

「いいや」

「こわがってないよ」

 それをわざわざ口に出す時点で、こわがっていると思う。

 だが、俺は心優しきお兄ちゃんである。妹の揚げ足をとる気はない。ちょっと頷いて、マルジャンへ目を向ける。

 呼び出されて、どうやら困惑した様子のマルジャンは、木の根っこらしきものをくわえていた。お食事中だったらしい。

「ごめん、ご飯食べてた?」

 見てわかることをつい訊いてしまった。マルジャンは律儀に頷いて、木の根をぽろっと口から落とす。口のまわりに土がついている。

 木の根のようなもの、ではなくて、紛うかたなき木の根だ。チャタラは植物、特にでんぷん質を好むそうだから、でんぷんの含まれた木の根を掘りおこして食べていたのだろう。

 マルジャンとヤラの二頭だから、この辺りの木を枯らしてしまうということもないと思うが、一応注意しておくべきなのかなあ。でも、あっちの世界では、チャタラの群れが居るところでも、木が枯れたりはしてなかったし、自分たちの食糧を長期的に手にいれる為にはとりつくしたらいけないって、本能でわかっているのかも。いやでも、還元で木が元気ってこともあるし。素がいろんなところで便利に働いてるからな。うーん、よくわからん。


 またしても思考の渦にはいってぼーっとしてしまった俺を見ながら、マルジャンは前肢にこすりつけるみたいにして、口許を拭った。それから、抗議するように、姿勢を低くし、しゅしゅ、しゅしゅ、と声を出す。俺は我に返り、頭をかいた。

「ごめんって。ああ、お芋、食べる?」

 ふかし芋の大皿のラップを外し、まだあたたかいお芋を一本手にとった。じゅうたんに置くと、マルジャンはぴょっと姿勢を高くする。「食べていいよ」


感想ありがとうございます。はげみになります。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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