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ほーじくんの意思ではしない、と思う。だって無駄だ。非効率にも程がある。
ニーバグは人間の子どもくらいには知能があり、お遣いなんかもこなせる。駆使魔法をつかっているというのもあるんだろうけれど、お金を持たせても大丈夫、と認識されるくらいに、知能がある、ということだ。そして、云ってきかせれば、悪いことはしない。野良のニーバグでさえ、人間に襲いかかることはめったにないという。なつっこかったなあいつら。
第一、ニーバグは修復者のお気にいりなのだ。四大精霊、みたいなののひとつだった筈。大地の精霊で、修復者の眷属。ニーバグを悪く扱うと、天罰をくらう。
修復者というのは、運を司る、人間全員に関係のある神さまである。
修復者にきらわれないように男性は髪を伸ばして丁寧に手入れし、女性は歯をつるつるぴかぴかに磨いて大事にする。旅に出るひとに小さな裁縫道具の包みを渡すのも、修復者にあやかれるようにという考えかららしい。俺も、ダストくんの村からレントへ向けて出発する時、裁縫道具をもらった。修復、というくらいだし、繕い仕事などに関係があるんだろう、多分。
それだけ日々努力して、もしくは折々には修復者に関係するものを贈ったりもらったりして、修復者に好かれよう、きらわれないようにしようと必死なのだ。そのお気にいりのニーバグを殺したり封印するなんて、とんでもない。
勿論、理由があったり、事故なら仕方がない。それだってみんなためらうことだし、おそらく事故などでニーバグを殺してしまったら、井や廟へ寄付するのが普通だと思う。
運というのは、(特殊能力に「運上昇」などがあることから)確実に存在すると考えられているものの、井で目視によってたしかめることができない唯一のパラメータだ。だから、今これくらいあるとか、これをしたらこれだけ下がったとか、それを確認できない。体力や魔力のように、等級を増やせばその分勝手に伸びていくものなのか、それとも等級を増やしてもどうしようもないのか、まったくわからないのだ。ニーバグと仲好くしていたらいいという考えもあって、だから駆使魔法でニーバグをつれているひとが多く居るのである。
その情況で、運を司る神さまのお気にいりであるニーバグを、封印。ありえない。
でも、目撃情報を聴くと、限りなくニーバグっぽいんだよな。豚みたいな顔で、子どもサイズで、お菓子が好き。人間になつく。まあ、豚っぽいと云うか、こうもりっぽい顔というか、ちょっとリアルなこうもりとか豚のぬいぐるみを足して割ったような顔だけどさ。




