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エクシザはお肉をついばみ、ゆっくり食べている。ヤラには働いてもらったので、甘くないクッキーを数枚あげた。嬉しそう。
エクシザが憐れっぽく鳴く。なにか俺に伝えたいらしい。
数回質問を繰り返すと、どうやら用を足したいらしいとわかった。俺は窓を開けて、外を示す。エクシザはそこから出て行き、のそのそと歩いて、それから飛びたった。窓を閉める。
二十分くらい、ヤラと雑談した。ヤラとマルジャンは、この近辺にも隠れ場所を見付け、そこでじっとしているそうだ。たまに虫などを捕食している。状態異常が酷くならないので、それだけでもありがたいらしい。俺は状態異常無効だから、状態異常のつらさはわからない。でも、つらいんだろうな。
エクシザを呼び戻した。もう大丈夫だったみたいで、エクシザは羽繕いしている。抜けた毛は戻らないが、傷は癒えているし、これからあたらしく生えるだろう。
エクシザは残りのお肉をまたついばんでいる。俺はもう一度訊く。
「で、エクシザ、人間を食べたり襲ったりはしてないんだよね?」
エクシザは、しつこい、とでもいいたげな目をしたが、頷いた。そうか。なら、いいか。
エクシザは戦力になるし、居てくれたらありがたい。少なくとも、こちらの世界に居るべき存在ではないだろう。人的被害が出る前、そしてほかの被害も大きくなる前に、使役できてよかった。
「エクシザ」
ぐっと返事がある。俺はそれを軽く睨む。
「これからも人間を襲わないこと。それがまもれないなら、わかってるよね」
エクシザは不満そうだが、頷いた。俺は付け加える。「なにかほかに、こっちに来てからの出来事で、俺に云っておくことはない? あとは、こういうものがほしいとか、これはいやだとか」
エクシザはお肉をゆっくりついばむ。お肉は最初の半分以下になっている。
エクシザはぐえっと鳴いて、頭をぐらぐら動かした。その動作の意味はわからない。なのでまた、根気強くききだすしかない。
で。
十分後、俺は頭を抱えていた。エクシザに何度も何度も質問を重ねたところ、大きな事実がわかった。
崖崩れ、こいつの所為。
まじかー。まじかよ。状態異常で苦しくて、何度か暴れたらしい。むちゃくちゃに飛びまわって、あの場所にぶつかって、崖崩れが起こった。まきこまれて怪我をしたそうで、エクシザは不満そうだった。
いや、いや。エクシザの体当たり程度で崖崩れになるんだから、そもそもあのみちがもろくなってたんだ。だからエクシザだけの所為じゃない。そう。多分。多分ね。




