3469
エクシザは普段食べ付けていない植物にまで手を出し、運悪くなにかであたった。おなかを壊し、二・三日苦しんだらしい。毒草でも食べたのかもしれないな。もしくは、鳥が食べたら中毒するもの。あちらにないものだったら、自分にとって毒かそうじゃないか、とっさに判断つかないだろう。
俺だってメイナムで本当にいやな思いしたからな。あんなまずいもん普通に売るなよ。
その後、怪我が多少癒えて、おなかも小康状態になり、エクシザは雨のなかを移動した。辿りついたのがあの渓谷だ。
ってことは、俺がここに来る前から、エクシザはあの渓谷に居たんだ。俺がこっちに来てから、雨は今日がはじめてだ、よな?
ちょっとだけ、ほっとする。俺目当てで移動してきた訳ではないようだから。
エクシザは渓谷で、鹿や猿を食べていた。鹿も猿も群れになっていて、だから追いかけまわせば脱落者はかならず出る。それを食べて、なんとか命をつないでいた。
だが数日で、それもうまくいかなくなった。鹿も猿もばかではないから、エクシザのやりかたに気付いたらもうひっかからなくなったのだ。
それにエクシザ自身、状態異常が相当すすんで、もう死ぬかもしれないというところまできていた。体の動きは鈍り、思考もまともではない。
重たい状態異常のつらさは凄まじいものらしい。ききだそうとしても、そのあとのエクシザの記憶は混濁している。
ただ、人間の声がしたので、鹿や猿と比べて鈍い人間なら、今の状態でも食べられるのではないかと思い、最後の力をふりしぼって飛んだ、ということは覚えているらしい。俺の顔もかすかに記憶しているみたいだ。だが、叫喚をくらって以降はほとんど記憶がないようだ。
「俺に使役されたことは覚えてる?」
エクシザは憐れっぽくぐうっと鳴いて、頷く。
「死ぬか使役か選べって云ったのは?」
覚えていない、のかな。エクシザは恨みがましい目で俺を見て、かすかに頭を振った。不満そう。
「俺が隠れろって云ったことは?」
頷きがある。よくわからないが使役されていて、隠れているよう云われたから隠れていた。そんな感じらしい。それで、さっきはあんなに態度がでかかったんだな。
俺は苦笑して、収納空間からお肉の塊をとりだした。「食べる?」
エクシザの目がきらきら潤んだ。心の底から喜んでいるような声で、くくっと鳴く。今まで俺に見せていない、従順そうな表情で、おもねるように細かく頷く。あらあらまあまあ。おなか、相当すいてるんだな。
感想ありがとうございます。はげみになります。




