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支配人は熱々のマサーラーチャイをすすって、びくっとした。マグをおろし、ぎゅっと首をすくめている。
「猟友会から連絡はありましたか」
「いや。支配人、気にせんでよこうてくれ。俺で対処でくる」
「だめです。佐藤先生も、心配はないと云ってくれました。わたしは転んだりもしていませんし」
支配人は強硬に云い、ビスケットをかじる。おじさんは困った顔だ。
おじさんは、多分、ホートリットや使役について、もっとくわしく聴きたいんだろう。でも、支配人が来てしまって、それはできなくなった。かといって、支配人を追い出すのも変だしな。
「俺達、ちょっと寝むよ」
「あ、ああ」
おじさんはぎこちなく云い、ぎくしゃく頷く。このひと、ほかは結構なんでもできるけど、演技だけはだめっぽい。
俺と妹はマグをからにし、ビスケットを数枚食べ、支配人室をあとにした。妹は本当に、眠らせるつもりだ。俺はいろいろとやることがある。ホートリットへの事情聴取とか。
お部屋へ戻ると、妹は洗面所へ直行した。俺がなにを云う必要もなく、歯を磨いて、寝室へひっこんでしまう。そっと扉を開けて様子を見ると、布団を伸べて横になっていた。疲れているのだろう。
俺も歯を磨いた。歯の為、自分の為、であるのと同時に、ちょっと気持ちを落ち着かせる為だ。支配人室を出て気付いたが、俺はだいぶ、神経が昂っている。この状態で、ホートリットから話をききだすのは、ちょっと難しい。
歯を磨いて顔を洗うと、かなり気持ちがおさまってきた。ついさっき、ホートリットに殺されるかもしれなかったのだとか、妹を傷付けさせたかもしれないとか、そういうことを考えるのはよくない。とにかく今は、忘れていよう。
ずぼんが雨に濡れていたので、はきかえた。
ホートリットには、浴室はせますぎる。俺は居間へ行って、ローテーブルや座椅子などを収納する。TVとPCは配線がどうなっているのかわからないので、位置を少しずらすだけにする。
それから、畳の上に毛布やタオルケットを数枚、重ねて敷いた。ホートリットがどんな情況だかは知らないが、やらないよりはましだ。
メニューを開き、使役中生物一覧を見た。「エクシザ:ホートリット 名称変更可 new」。エクシザね。
「エクシザ、ヤラ、来て」
目の前に二頭があらわれた。エクシザは不満げにぐぐっと鳴き、俺を睨んでいる。ヤラは俺を見て微笑んだらしかったが、エクシザに気付いてぴょんととび退る。怯えた様子だ。
うーむ。
俺のパーティ、可愛くない。




