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猟友会は、すでに山狩りを開始しているらしい。人間よりもどでかい鳥が出た! と云って、来てくれるものなんだな。猟友会って、凄く良心的な組織なんだ。
おじさんがちょっと苦い顔を、こちらへ向けた。
「林さんが、ケータイに写真があるち気付いてな」
ケータイ?
あ、俺と妹で拾った、あの子達のケータイか。フロントに預けたんだっけ。あれ?
記憶がとびとびになってる。妹のことが心配で、その辺りがあやふやだ。多分、フロントに預けた。と思う。ロビーに這入った時に、従業員に渡したんだっけ? とにかく今、手許にはない。だからまあ、誰かに渡したのは間違いないだろう。
あー……そのケータイで、あの子達の誰かが、撮ってたんだ。ホートリットの写真。そりゃあ、みんなケータイ持ってたし、誰かひとりくらいは写真を撮っていても変じゃない。で、その写真があるから、猟友会にまともにとりあってもらえた、のかもしれない。
ていうか、動画があってもおかしくないよな。
俺が魔法であいつを攻撃したところも、写っているのかもしれない。それはまずい気がする。
俺は心配そうにしてしまったみたいで、おじさんがもごもごと云い添えた。
「しかし、残念じゃのお。録画がストップしてしまっちょって」
「そうでございますね」支配人は本当に悔しそうに云う。「わたしは機械というものを信用しているんですが、彼女たちの持っていたケータイはそう頼りになりません。落としたくらいで録画が停まるなんて」
そうだったんだ。よかった。じゃあ、写真が数枚だけ、って考えていいだろう。途中で確認した段階で、あの子達はケータイなんて放り出して怯えていた。
支配人は、憤懣やるかたない、という表情だ。動画があったら、猟友会にもっとくわしい情報を提供できたのに、と思っているらしい。ホートリットにおどかされて、随分腹がたっているのだろう。自分が驚いたと云うよりも、あの女の子達をこわがらせたことに怒っているみたいに見えた。
俺もあいつは好きじゃないけど、戦力としては信用できる。
おじさんが内線電話でどこかへ連絡した。それから、支配人をソファに座らせる。支配人はそわそわしているが、断らない。
すぐに、支配人用のマグと、マサーラーチャイのたっぷりはいったポット、ビスケットの大皿をワゴンにのせて、白石くんがやってきた。白石くんは俺達のマグにもマサーラーチャイを追加で注いでくれる。その間に、おじさんがビスケットの大皿をローテーブルへ移動させる。妹がまっさきにビスケットを掴み、口へおしこんだ。




