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「それで、そん、使役しちょったら、安全なんか」

 おじさんの声はだいぶ不安そうで、俺は苦笑した。魔物はこわいものなのだと、あらためて認識する。

 あちらでの年月が、俺の価値観をあちらふうに矯正してしまっている。転移したばかりの頃、魔物を相当こわがっていたと、思い出した。

 苦笑のまま云う。

「大丈夫だと思うよ。命令すれば、魔法つかったり、いろいろするし……いやがっててもやらせることができるから」

 魔力よこせ、とかな。マルジャン達のどことなーく迷惑そうな顔は、しっかり覚えている。

 マサーラーチャイをすすった。かなりぬるくなっているが、スパイスの効果だろう、飲むとおなかがぽかぽかする。つめたい雨は、体に堪えた。

「とりあえず、目立たないところで呼び出して、あいつのいいぶんもきいてみる。状態異常はなくしたから、もうむちゃくちゃな暴れかたはしないと思うし、落ち着いて話せそうだよ」

「そうか、そうか……」

 おじさんは小さく数回、頷いた。妹が少しずつ、マサーラーチャイを飲んでいる。


 俺はからになったマグを、ローテーブルへ置いた。

「ねえ、大丈夫なの?」

「あ?」

「支配人と、あの女の子達」

 おじさんは五秒くらい、きょとんとしている。それから、ああ、と掠れた声を出す。二回、深く頷く。

「怪我は、しちょらん。佐藤先生が、外傷はないち。じゃけど、目で見てわからんこともあるけんの。きちんと検査させたほうがいいち云うけん、さっき裏道から下へ、運ばせた」

「え?」

 裏道って、急なつづら折りで、危険なんじゃなかった?

 俺の疑問は顔に出ていたみたいで、おじさんは頷く。

「大丈夫じゃ。丁度、荷物を背負うて運んでもろうたところじゃった。無理云って、背負うておりてもらった。背負子、つくっての」

 佐藤先生に監修してもろうたけん大丈夫じゃとおじさんは胸を張る。おじさんって対応がはやいよな。


 女の子達は毛布で包まれ、キャンプなどでつかう寝具(体にまきつけるうすい布のようなもので、防水でなおかつとてもあたたかくなる)で包まれして、背負子にのせられ、荷運びのひと達に下まで運んでもらってる。

 荷運びのひと達と一緒に、従業員も数人、おりていったらしい。本当はお医者さん達をつけたかったけれど、ここからお医者さんが居なくなったらことだ。急な傷病者に対応できなくなる。

 女の子達は、下で待ちかまえているハイヤーで、一番近い総合病院へ行き、検査をうけるらしい。荷運びのひと達が居てよかったと、おじさんはちょっとだけほっとした様子だった。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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