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「あの子達は?」

「山茶花に這入ってもらった。あの部屋が一番ひろいけん」

 おじさんと目を合わせる。おじさんは首をすくめている。「そこで、佐藤先生が診てくれてる」

 それなら心配ないだろう。彼女達は、ホートリットに攻撃されてはいない。攻撃魔法かもしれない咆吼はあったが、直撃したのは俺にだ。あの段階では、ホートリットは俺を狙っていた。それは間違いない。叫喚で攻撃した俺を、あいつは一番の敵だと認識しただろう。

 普段なら弱い者から攻撃するかもしれないが、まともな状態ではなかったのだ。強い攻撃魔法をつかえる=魔力が高い=食べれば魔力を補える、と思って、俺に狙いを定めた筈。

 巨大な怪鳥を間近で見た、という心的外傷は、俺にはどうしようもない。俺がホートリットを呼んだ訳ではないのだ。それに、俺にしては、健闘したほうだと思う。


 ロビーは相変わらず、お客さんでにぎわっている。みんな特になにをするでもなくここに居る。崖崩れで閉じこめられているのが不安で。

 シカタ夫妻が居て、軽く手を振ってくれた。俺は微笑んで手を振り返し、おじさんへ目を戻す。

 従業員がとんできて、俺と妹にタオルをさしだした。俺はそちらを見ずにお礼を云い、タオルをうけとって、頭を拭く。妹ものろのろと手を動かして、頭にタオルをかぶる。

「どこで話したらいいの」

「支配人室まで来てくれ」

 頷いた。

 おじさんはなにかやることがあるそうで、一旦離脱する。俺は肩にタオルをかけ、妹と手をつないで、ゆっくり歩く。シカタ夫妻が不思議そうな顔を俺達へ向けているのが、ちらっと見えた。


 支配人室の前には白石くんが居た。白石くんは支配人室の扉を開けて、俺達をなかへいれてくれる。しめったタオルをひきとってくれた。

 妹をソファへ座らせ、収納していたバスタオルをとりだしてかぶせた。俺は濡れたシャツをぬぎ、乾いた清潔なシャツにかえる。

 妹の隣へ座った。妹は項垂れている。バスタオル越しに、頭を撫でる。

「……お兄ちゃん」

「ああ」

「あんなのがおるところで、生きてたんやな」

 ふふっと笑ってしまった。

「あんなのばかりじゃないよ。あいつは特に強いやつ。状態異常じゃなかったら、俺じゃあどうしようもなかったかもしれない」

 それは事実なのだが、妹にはそうは聴こえなかったらしい。咎めるような目を向けてくる。

 だが、それも一瞬だった。元気なく目を伏せて、黙りこむ。俺もなにも云えず、妹から目を逸らして、じっとしていた。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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