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そのあと、妹の友達から複数回連絡がはいり、どうも世界各地でUMAの目撃情報があがっているらしいと、俺達は認識した。やっぱり、これだけの数の目撃譚が一斉に出てくるのは、変だ。自然にひょいっと転移してきた、というのは、違うかも。
「封印……だろうな」
俺はそう云って、右手で頭をかいた。そのまま頭に手をあてる。これって、やっぱり、ほーじくんがやってるってこと? 封印。
これだけの数を?
妹は友達に返事を送ってから、いったんケータイ電源を切った。
ロビーにはひとが沢山居るが、皆さんケータイで崖崩れのニュースを調べたり、どこかへ連絡したり、従業員に泣きそうな顔でなにやら切々と訴えていたりと、俺達兄妹を気にはしていない。会話も、聴こえてはいないだろう。距離もあるしな。
俺はまるで、最初から腰の後ろにそれを置いてあったみたいに、あちらでつけていた日記もどきをとりだした。単に後ろに収納空間の口を開いただけだが、収納空間を知らないとわからないだろうから、大丈夫。
日記を開いて、魔物について書いているページをさがした。それはたいした数ではない。クロイダイド……は、大きな鳥みたいなやつ。やすでさん。リューさんのことで苦い思い出のある、ホートリット。ホートリットは大きいし、羽があるし、悪魔っぽいかもしれない。
気分が悪い。
「でもさ」
「なに?」
「あっちでは、連絡網がそんなにないっていうか」
伝糸はあった。あったけれど、新聞が一般的じゃなかったし、出自のわからない変な格好の人間があらわれた、となったら、もしかしたら国家機密とかになって、ほかの地域にその話が伝わらないかもしれない。
それに俺みたいに、転移してすぐに自分の特殊能力も職業もまずいものだと気付いて、転移者であることをひたかくしにしているひとも居るだろう。考えたくないけれど、転移した場所がまずくって転移直後に死んでしまったり、捕まって身動きとれなくなったひとだって、居ると思う。
ってことは、もしかしたら、俺と同時期に転移したのは、伽羅子さん、京介さん、コマちゃんの三人だけじゃないのかもしれない。ほんとはもっと沢山の転移者が居て、たまたまあの三人と知り合っただけかも。
ならこれだけ多くのUMA目撃譚が出てくるのも、変なことではないって可能性もある。こっちでは世界の裏側のことでもすぐにわかるような情況だから、情報が集まるのがはやいだけ。知らない=ない、じゃないだろう。
感想ありがとうございます。はげみになります。




