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「でもお兄ちゃんとか、お兄ちゃんみたいなひと達が何人も居たんやろ? 偶然こっちに来てしまったんかも」
「それは……そうかもしれないけど……」
妹の云ったことは、筋が通っている。
こちらからあちらへ行けるのだ。あちらからこちらへ、封印などではなくたまたま来てしまう、という可能性がないとは云えない。
こっちからあっちへの一方通行なら、そもそも封印自体が成立しないのじゃないかな。
だから、封印の性質が違うだろう。今の封印は、封印というよりも「強制転移」という感じだけど、あちらからこちらへ来ることができないのならば封印は「その場へとどめる」ような効果になると思う。
もしくは、封印された途端に存在が消滅する、とか。
それに開拓者は、もともと居た世界がだめになって別の世界へ入植した。ってことは、だ。俺が開拓者だったら、もしものことを考える。
もしも、この世界もだめになってしまったら?
助け出してきた人間達を、また別の世界をさがしだして、そこへ入植させるしかない。
捨てる、という考えは持たないと思う。そもそも人間を助けようと、あたらしい世界を開拓して入植させたんだ。開拓者は世界を行き来したり、地形をかえたり気候をかえたり、なんだってできる神さまなんだぞ。前の世界の人間達が気にいらないなら、捨ててくればいい。どうせもとの世界は滅ぶ。
でもそれをしなかった。開拓者は人間を助けて、便宜をはかった。還元の力を与えたり、魔法をつかえるようにしたりした。
なら、もしもまたその世界がだめになったら、別の世界へ逃がそうと考えていたと思う。ってことは、あっちの世界からこっちへ来ることはできない、っていうのは、ないと思う。逃げ道を塞ぐようなことはしないと思うのだ。
だから妹の云うこともわからなくはないのだが、タイミングがタイミングだ。封印の可能性は高い気がする。だって、俺があっちへ行く前は、こんなふうにUMAの目撃譚を頻繁に聴くことはなかった……と思う。いや、興味なくて知らなかっただけかもしれないけど。
妹のケータイが鳴った。
「あーくんだ。あ、ねえお兄ちゃん、これ」
画面を見せられた。今度は英語だ。英語だ、ということはわかる。「フィリピンでもなんか出たって」




