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あっちには、ものの価値がわかって、それを値段として認識できる職業加護だか、特殊能力だかのひとが居るらしい。両替商に勤めているのだ。で、持ちこまれたものを査定する。
流行とかそういうものに左右される面はあるだろうけれど、そういうスキルだかアビリティだかを持っているひと達は、その流行にも沿った価値が見える。だから、両替商に正体不明のものを持ちこめば、とりあえずそのもののその時の価格と、装備した場合に効果があるかはわかるらしい。
ってことは、あちらでは、ディファーズウールのじゅうたんが銀貨十数枚とか、多くても数十枚程度だったのは、適正価格なのだ。それだけ、こちらの世界と資源や技術に差がある。
やっぱり、要するに、詰まるところこれって、交易だよな。あっちではありふれてるものをこっちで高く売ってお金にし、あっちでは手にはいりにくい、もしくは手にはいらないものを買おうとしてる。
鑑定士さんが一度お手洗いに立ち、お仕事に戻った。鑑定済みの宝石は、きちんとした箱にいれて包装し、大きな箱に緩衝材と一緒に詰められて、会議室から運び出される。
妹が面白がるので、しばらくオークションのサイトを見物した。タペストリーもじゅうたんも、どんどん値がつりあがっていく。冗談もしくはいたずらで、不正に値をつりあげている集団が居るのではないかと疑ったが、そういうことでもないようだ。
「ほら、凄いのが出品されてるって騒いでるみたい」
「そうなん?」
俺は英語はいまいちなのだが、妹によると、海外の個人サイトでタペストリーが話題になっているらしい。見せてもらってもわからん。absoluteというのは目にはいった。
愛好家というのかな、そういうひと達が盛り上げてくれているおかげで、じゅうたんもタペストリーも値が上がっているのだ。ありがたいことである。ちょっとこわいけど。
いやまあ、宝石も凄い値がついたけど、それはなんとなく予想してたというか、だって宝石だぜ? 高いだろうってなんとなく思うじゃん。でもじゅうたんだし、くるっと丸めて樽とか大きなつぼにいれて叩き売ってたものが、そんなに高いと思わない。まあちょっとは資金源になったらなあって気分だったのだ。
蓋を開ければ、へたな宝石より高い。まじで意味わからん。じゅうたんだよ。こっちでは、宝石は掘り起こすしかない。還元で手にはいらないんだから、高いってのはわかる。でもじゅうたんは、材料集めて織ればそれですむんじゃないの? と思ってしまう。わからん。わからんよ、高級なものの世界。




