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クッキーもおかわりできた。俺は二回おかわりし、シカタ夫妻がまたくすくすしている。
崖崩れのところがなんとかなるか、裏道がなんとかなるかして、ここから出られたらどうするか、という話になった。「まだ、観光してないんですよ」
シカタ夫妻は顔を見合わせる。昨日、この県に這入ったばかりで、こうやって災難に見舞われてしまったのだ。
俺と妹で、観光スポットについてしばらく教えた。おそば屋さんのことも伝えておく。ふたりともおそばは好きだそうで、ここから出られたら行ってみると嬉しそうだった。
お部屋でお仕事をするというシカタ夫妻と別れ、俺達はレストランへ行った。荷物はまだ来ない。
簡単に食事をして、ロビーへ戻ると、丁度荷物が届いたところだった。ロビーに居たお客さんの大半は、注文したものをうけとろうと待ちかまえていたひと達らしい。配送業者さんの前に列をなしている。
俺と妹も並んで、荷物をうけとった。貝ぼたんは軽いが、食糧は重いので、台車をかりる。それを押して、廊下へ向かった。
しばらく、廊下を無意味に移動する。誰も居ないところで、俺と妹はささっと荷物を収納した。からの台車をおしてちょっと戻る。従業員を見付けたので、台車を返した。チョコもだいぶ手にはいったぞ。よし。
宝石の鑑定がどうなっているのかが気になって、会議室へと移動する。
首尾は上々のようで、会議室はだいぶ片付いていた。おじさんの姿はない。崖崩れのことで各方面の調整が大変なのだと思う。おじさんも大概ワーカホリックだよな。
鑑定士さんは姿勢よく立って歩きまわり、元気そうだが、部下の皆さんはへとへとになっている。椅子に座って、おじさんがさしいれたのだろうお握りをむさぼっていた。
あ、うすやきたまごでまいたチキンライスのお握り、うまそう。グリーンピースたっぷりで最高じゃん。高菜でまいた昆布の佃煮お握りもうまそう。うわ、チャーハンのお握りもあるじゃん。おじさんのセンス最上級かよ。うへえ、塩握りにうすーくけずったかつおぶしをくっつけてるやつもある。
俺達の目がらんらんとしていたのか、鑑定士さんの部下の皆さんがびくっとした。従業員が煎茶を淹れ、配る。「三木さまもどうぞ」
「もう少ししたら戴きます」鑑定士さんは振り向きもしない。「わたし猫舌なの。お茶、淹れておいてもらえますか?」
白石くんがふきんの掛かったトレイを手に這入ってきた。お握り第二陣のようだ。これだけあるならちょっと分けてもらってもいいよね。ね?




