表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3571/6868

3431


 乱暴に結論を出してしまった妹に、俺はしかし反論できず、結局妹に手伝ってもらって調理をはじめた。まあ……よしとするか。

 あまり深く考えたらだめだ。事実として、妹はジーナちゃんのクッキーを食べても平気だった。ってことは、材料に触れるくらいなら大丈夫だろう。

「つまみぐいするなよ」

「はいはい」

「はいは一回」

「はーい」妹はいたずらっぽく笑う。「だって、大好きなほーじくんに食べさせるんやもんね? お兄ちゃん?」

 鼻をつまんでやると、妹は痛い! と大げさに喚いた。俺はもう一度、きちんと手を洗った。お料理前の手洗い大事。


 キッチンは小さなものだし、コンロはふた口、オーブンはついていない。こったお料理はできなかった。

 野菜炒め、とか、コーンスープ、とか、フライパンで焼いたケーキ、とか、そういうものをつくった。できあがったものは、あちら製のお皿にのせたり、()()で包んだりして、収納しておく。

 妹は自分から手伝いを申し出ただけあって、ばりばり働いてくれた。俺の指示にわかった、とか、どれ? とか短い言葉を返すだけで、お喋りもない。まったくもって、助手としては最高だ。

 お昼まで作業をすると、だいぶ疲れた。かわりに、収納空間には沢山の調理済みの食べものが増えている。

「え? ヴァニラビーンズそんなに安いん?!」

 いったん休憩して、こちらで買ったお菓子の袋を開けて食べていると、妹が素っ頓狂な声を出した。俺が、あちらでどんなものを買ったか、というような話をしていた時だ。

「うん」頷く。「安いよ。それでもセロベルさんは……あ、わかるか?」

「お兄ちゃんが勤めてた旅館の主人」

「ああうん。そのひとはさ、香りをつけるだけのものなのにこの値段か? みたいな反応だったんだけど、実際それつかったお菓子食べたら、適正価格だって思ったみたい」

「いやいや、適正やないわ。安すぎる」

 それには同意する。ヴァニラビーンズもだけど、香辛料全般がかなり安かった。あとは、はちみつ以外の甘味料。

 多分だけど、お砂糖やシロップの大半が、還元によってできたものだったんだろう。コーンシロップなんかはその典型。

 虫歯がこわい世界だが、恢復(かいふく)魔法である程度はなんとかなるみたいだし、そもそも歯磨きという概念がきちんと定着していた。裾野のひとは、男性でも歯はかなり綺麗だったな。ほかの地域の男性はビミョーだったけど。女性は、歯に修復者の加護があるとされているので、絶対におろそかにしない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ