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換金すれば資金になる、物々交換などにつかえる、というものだけでなく、お金そのものである銀も手にはいりそうだ。展望は明るい。
切り分けられた銀ならそのままお金としてつかえるし、銀の延べ棒は困った時に両替商か、装飾品の工房へ持ち込もう。悪しき魂がばれていたらできないが、その場合は適当な人間を使役するという手もある。できればやりたくないけどね。
ああ、ニーバグを使役して、お遣いしてもらうっていうのもいいかな。うーん、ニーバグに銀の延べ棒を持たせるっていうのは、ちょっと怪しいかなあ。
妹がレストランへ注文して、夕飯が届いた。妹はおかゆとお漬けもの、旬のフルーツをお酒で煮たもの、とり団子のはいった春雨スープなど。俺は、山菜の炊き込みご飯に、和風ソースのローストビーフ、ヤングコーンとレタスのサラダなど。
戴きますと云って、食べ始める。思い出したので云う。
「食糧、足るんかな」
「大丈夫って。裏道から運んでもろうたらしいわ」
例のジグザグみちのことだろう。車が落ちた、という話を思い出して、ちょっと気分が悪くなる。
その流れで、妹がおじさんのことを話す。崖崩れでここへ着くのが遅れたお客さん達への補填や、返金など、いそがしいらしい。妹は手伝いを申し出たけれど、途中で出ていくように云われたそうだ。
「農家さんにも、裏道はあんまり整備されてなくって危ないけん、その分お金をはずんで……」
「じゃあ、赤字じゃないのか」
「やと思うけど、おじさんそういうの、こだわりはじめたら辞めんやろ? この辺りの農家さんの、おいしい有機野菜をつかうって決めてるから、物理的に不可能じゃない限りはそれを枉げることはできんのって。支配人が云うてもきかん」
おじさんらしいものいいである。あのひと、よく云えば粘り強い。悪く云うと諦めが悪いとか、しつこいとか、潔くないになるけど。
崖崩れの対応についてのあとは、おそば屋さんのことを話した。店名は忘れてしまったが、妹がケータイの地図アプリを開いて、俺がそれを操作し、どこにあるかを教える。開業から間がない所為か、地図が更新されておらず、あのお店の住所はスナックになっていた。
「あ、ここ半年くらい前に辞めた筈やわ」
「どうして知ってるんだよ」
「おじさんの会社の専務の行きつけやったの。ママさんが勇退して、今は海棠荘で湯治してる」
へえー。まあ、近いところだし、知ってるひとが居てもおかしくないか。
妹は今度おそば屋さん行ってみるわとご機嫌だった。俺が、てんぷらが異常にうまいと云ったので、楽しみなようだ。
誤字報告ありがとうございます。助かります。




