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やな話だけど、アフィテルディみたいな奴らなら、お金を積めば悪しき魂の人間にだって協力するだろう。ハツァル達もそういう部類かもな。命乞いをする時に、すぐにお金の話をしていたから。
どの世界にも、お金を至上に据えているひとは居る。そういうひと達の存在は悪いものじゃないとわかった。特に、俺みたいに逃げ隠れしていないといけない人間は、助かる。
アフィテルディには嫌悪感しかないが、あちらの世界のくらい部分、いやな部分を見せてくれたことには、少しは感謝しないとな。おかげで、お金さえ積めばなんとかなるひとが居るってことが理解できた。
あいつらはお金で雇われて、娼妓を襲ったり、殺したりしていた。くだらない理由でくだらない暴行事件を起こしていたのだ。そしてくだらない恨みで身を滅ぼした。荒れ地で、どうなったかな、あいつら。
どうでもいいけど。
いつ聴いたか忘れてしまったけれど、関係を持った娼妓を、様々な理由――本国/家族/婚家/婚約者/職場にばれたくない、信仰の関係で許されない行為だと後悔している、娼妓当人から脅されるのではないかとおそれている、などなど――で殺そうとするひとは居る。
そして、それを請け負う人間も居る。アフィテルディ達はそういうことをしていたのだ。娼妓それ自体が目障りだから、自分のお店の近くで営業されるのがいやだから、という理由で、痛めつけてほしいって依頼するひとも居たみたいだけれど……どういう神経をしているんだろう。職業や能力値を重視しすぎる価値観は、やっぱりどれだけ考えても理解できそうにない。
疎蕩者は神で、娼妓はそれに守護された職業、稼業なのだ。それを害して平然としていられるひと達なら、悪しき魂の人間に雇われて護衛をするくらい、なんでもないだろう。そういうひと達にはお金がカミサマなのだ。アフィテルディは裾野のひとらしい顔立ちだったのに、娼妓を軽く、下に見ていたから、やっぱりあいつにとってはお金が最上級のものだったんだろう。
まあな。それでも、天罰をおそれて、悪しき魂だけにはなびかないひとも居るだろう。どれだけ悪さをしていても、悪しき魂とは関わりたくない、というひともな。
けれど、そればっかりは運に頼るしかない。
結局なにもかも、最後は運だ。なら少しでも選択肢が増えるよう、お金を沢山用意する。それくらいしかできない。
コマちゃんは無事だろうか。ルッケンレーネのひと達が、彼女をしっかりまもってくれていたらいいな。
自分のことみたいに思っている。コマちゃんには迷惑なことだろう。




