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なんでもいい。とにかく、炭を燃料にしてつかえるだろうから、あれも買おう。どうして、今日ホームセンターへ行った時に、思い付かなかったかな。
軽い自己嫌悪におちいった。俺は呻きながら、寝返りを打つ。こうやっていられるのはあとどれくらいの時間だろう?
両親にもう一度会って、そしてきちんと説明すべきかなと、思った。
眠ってしまったらしい。妹に揺すられて、起きた。
「お兄ちゃん」
「ああ……今日、まだ六日か?」
目をこすって妹を見た。妹は頷いて、俺の隣に腰を下ろす。「疲れてる?」
「少し」
欠伸が出た。マルジャン達の状態異常をもらう。状態異常無効は、すぐに働いてくれる。本当に便利なスキルだこと。
妹がケータイでどこかへ連絡した。すぐにケータイをマナーモードにして、妹はローテーブルになにやらひろげる。
「なに、それ」
「お兄ちゃんの云ってたこと、整理してみた」
妹は淡々と云う。ローテーブルにひろげられたのは、A4サイズの紙だ。そこには俺が妹に喋ったことが、ざっくりとまとめられている。
妹は、あちらでは高価なもの、手にはいりにくいもの、をまとめてある部分を示す。「お酒も要るかもと思うて、おじさんに相談したら、エタノールならようけあるち。あと、かつおぶしと、干しあわびとか干しなまこも、レストランで出してるからいつもの卸しさんに頼めるらしいわ」
「あ……」頷いた。「ありがとう。丁度、考えてたところだった」
妹はにこっとする。本当に、この子は有能だ。
干しあわびなど、乾物は、あさってには届く。お酒は明日の午后までに用意してくれるそうだ。まぜもののないエタノールで、レストランでパンやピザをつくる時に、調理台をそれで消毒しているらしい。なので、毎週納入してもらっているのだが、その分量を増やしてくれるそうだ。
それからふたりは、俺にないしょでもっと凄いものを用意してくれていた。
「崖崩れの所為で遅れてしもうたけど、銀も沢山用意してるから」
「え?」
「お兄ちゃんが持ってたもの、考えてみてよ。あんだけの量の、金やらプラチナやら」
呆れたような声だ。俺はなんとなく、首をすくめる。妹は優しく微笑む。
「それだけあったら、銀を沢山買うのくらい、なんでもないらしいわ。ほいでおじさん、銀の延べ棒とか、チップみたいにしたやつとか、運ばせてると途中やって」
うへえ。
物々交換、ということではないだろうが、よくよく考えてみればこちらの世界では、金やプラチナに比べれば銀は安い。だから、俺が金やらプラチナやらを持っていたら、それを売って銀にかえればてっとりばやい。どうして気付かなかったかなあもう。




