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「ほんとに使役したままでいいの?」
何度もそう確認したが、二頭はその度に頷いた。
俺は予想とは違う反応に、ちょっと頭をかく。「危険なんだけどな」
俺と関わらなければ、マルジャン達はその辺で自由に過ごせるのだ。傭兵達に狩られる危険はあるだろうけれど、俺が魔王だとばれていた場合の危険とは桁が違う。それに、俺はほとんど戦えないから、マルジャン達に戦ってもらおうと思っている。
そのことも説明した。だが、二頭の意思はかたい。
「えーっと」首をひねる。「俺から離れたほうが安全なのに、どうして俺と一緒に居たいの?」
つい、そんな訊きかたをした。二頭が戸惑っている。俺はいいなおす。
「俺と居たほうが得があるのかな」
二頭は目を合わせ、しゅるしゅるしゅる、と短く会話した。それから首を傾げてしまう。「損得の問題じゃないってこと?」
それには肯定が返ってきた。成程。
「じゃあ、もしかして、もしかしてだけど、俺に対して恩義を感じてる……とか?」
肯定された。まじすか。
マルジャンは弱っていたところを使役して、逃がした。だからまあ、恩義を感じているといわれても頷けなくはない。でもヤラは思いっきり蹴っ飛ばしたし、そのあとも魔力をとったりしてきてるんだけど。
十分くらいかけてききだしたところによると、どうも、状態異常が二頭にとっては相当につらいものらしい。だからそれを、完全に消すことまではできなくても、肩代わりしている俺に対して、恩義を感じているみたいだ。
つらい、というか、二頭にとっては、状態異常は死につながるものらしい。それが確実かどうかは知らないが、俺がたまに二頭から状態異常をとらないと、死んでしまう可能性があるのだそうだ。まあ……そうなのかな。
例えばだけど、封印された魔物達がこちらの世界にやってきているとして、そいつらがこっちで暴れなかったのか? という疑問があるのだ。
あちらでは倒せないと判断されて封印された竜だとか、とにかく大きな魔物だとか、とんでもない能力を持っている悪しき魂だとか……それって、こっちの世界のひとで太刀打ちできなくない? と。
でも、マルジャン達みたいに、こちらの環境そのものが毒なんだとしたら、その疑問は解決する。
要するに、ゲームで云うスリップ床だ。立っているだけでHPが減っていく。こちらの世界のどこに居ても、マルジャン達のような速度で状態異常になり、弱まっていくのだとしたら、放っておいても勝手に死んでしまう。
それから救われたと思っているのなら、マルジャン達が俺に恩義を感じているのはわかる。




