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 あとは? あと必要なものは……。

 あちらの世界はかなり快適だったからな。電話がないのと、交通の便が悪いくらいで、不満はそんなに大きくない。常識が違ってて腹がたつこととか、差別が存在しているのがいらだたしいとかはあったが、そういうものはなにかものを持っていったからって解決することじゃない。

 こっちで普通に手にはいって、あちらだと大きな効力を発揮するものってなんだろう。

 恢復(かいふく)魔法があるから、お薬は大概、役に立たない。勿論錬金術士さんや調剤士さんがいいお薬を沢山つくっていたけれど、それは恢復(かいふく)魔法にまわす魔力がおしい時につかうものだという認識だった。あるいは、単純に、魔力を恢復(かいふく)するお薬か。

 ダストくんの村では、風邪の時はお薬に頼っていたけれど(ダストくんのお母さんがへとへとになるまでお薬をつくっていた)、それも、もしかしたら燕息をつかえる癒し手が居なかったからかもしれない。ダストくんの村の構成員について、俺はくわしく知らない。ズフダリフ先生が、還元士が少ないってことは云っていたけれど、癒し手のことはな。


 あちらの世界のひと達って、癒し手をちょっと軽く見てる。

 ティーズくんやヴェンゼくんが云ってたけど、癒し手って本来はもっと尊敬されてもおかしくないし、もう少し敬われるべき職業だと思う。

 だって、怪我がすぐに治るんだぞ。完治しないとしても、何度も魔法をつかえば止血はできるし、応急処置に関してはこちらの世界の医療はかなわない。

 傭兵達でも、癒し手の重要性はいまいちわかってなかったな。癒しの力があって、魔法一覧に恢復(かいふく)魔法がのってれば、つかえる。だからわざわざ、職業加護が外れの癒し手にならなくてもいい、みたいな考えだ。

 実際、マルロさんやメイラさん、ライティエさんみたいに、幾つかなら恢復(かいふく)魔法をつかえるってひとは居たし、癒し手以外の職業になって職業加護をもらったほうがいいっていうのもわからないでもない。でも、癒し手が軽んじられる理由にはならないと思う。

 癒し手って云う存在があまりにも普遍的すぎて、ありがたみがわからないのだろう。こっちの世界でそういう能力を持っているひと達があらわれたら、確実に国家が保護する。事故で大怪我を負って、搬送しても間に合わない……なんてことがなくなるかもしれないのだ。

 だって、止血はすぐにできるし、凄い癒し手ならどんな怪我だって一瞬で治してしまう。医療の常識がひっくりかえってしまう。


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