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 ユラちゃん、結構な頻度でペンをだめにしていた。彼女はとんでもなく勉強家だから、毎日沢山文字を書くのだ。ペンにインクをつける作業は面倒だけど、宿題とかテストは鉛筆で書いちゃだめなんだって。御山(おんやま)に提出する論文もそう。普段は鉛筆で作業してても、提出する前にはペンとインクで清書している。

 書庫には鉛筆書きの資料も沢山あったけれど、過去のものだったり公的でないものだから鉛筆書きなのだ。今現在、御山(おんやま)でなにか提出する場合、文書はほとんど、インクで書くことを要求される。

 鉛筆で書かれたものは、「表面を触ってしまって判読不能にする」率が高いし、二重三重に控えをとっていたな。智慧者に記憶させるのは勿論だけれど。

 ユラちゃんは何本もの論文を書いていたし、だからインクで手が黒くなるのとか、べたべたするのとか、いやがっていた。収納空間を持ってないから、インクを持ち歩くのが大変だともぼやいてたな。インクって大体、しっかりした容器にはいっていて、そういう容器は例外なく重たい。そもそもインク自体が液体だから、へたな運びかたするとこぼれて大惨事になるし。


 あ、そうだ。

 インク、というか、墨を持っていくのはどうだろう。あちらの世界で墨を見たことはない。墨の材料って、菜種油を燃やした()()と、にかわだったよな。墨と硯があれば、ユラちゃんならお水は魔法で出せる。つかいたい分だけすってつかえばいい。

 ペンがだめになるのはどうしようもないけれど、持ち運びが不便というのは半分くらい解消できる。水分が重たいんだし、液体だからこぼさないように気を付けないといけないのだ。

 墨なら、多分あちらの世界のひと達でも、普通に触って平気だと思う。菜種油ならあちらにもあったし、厨房で()()掃除をしたことも何度もある。当然、にかわも存在している。

 いつだっけ、誰かと誰かがにかわでくっつけたみたいだって形容を聴いた。いやまあ、それが「言語:異世界」で翻訳されて、そういうふうに聴こえてたのかもしれないけれど、でもにかわだぜ。ないと考えるのは難しい。いろんなことにつかうじゃん。それにゼラチンは普通に売ってたし。

 ああ、ゼラチンも持っていこう。粉のやつ。あっちのゼラチンはおいしいけど、つかいにくい時がある。粉ゼラチンなら楽ちんだ。ゼリーっておいしいもん。食べたいから、ゼラチンは持っていく。

 ユラちゃんに墨と硯をあげる機会がなくても、持っていくのくらいはしたっていいだろう。俺の自由だ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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