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二頭はきょとんとした。多分。
俺は苦笑する。こんなこと、許可をとる必要あるのか、とか、使役してるんだから一蓮托生でも仕方ないじゃん、とか、考えなかった訳ではない。
でも、一応、訊いておくべきだと思ったのだ。
二頭とも使役されているから、もしかしたら意思もそんなにはっきりしていないかもしれない。俺が魔力を譲れと云った時だって、いやそうだけれど譲ってくれた。だからここで、俺と一緒に死ぬかもしれないけれどそれでいい? と訊いて、いいよ、と返ってきても、それが本心かどうかわからない。
つまり本当に単なる自己満足だ。それでも気になったから訊いた。
「まあ、まずそうだったら、使役を解除するつもりだけどね」
脚を伸ばす。「ふたりが死なないように気を配るつもりだから、その辺は心配しないで。でもいやなら、俺があっちに戻った瞬間、ふたりの使役を解除する」
どう? と訊いてみる。マルジャンはヤラを見、ヤラはじっと俺を見ている。どうなんだろう。
しばらく、二頭の可愛くない顔を見た。二頭はそろそろと目を合わせ、首をかくかく動かしたり、しゅしゅ、しゅるしゅる、みたいな小さな声をたてる。相談中のようだ。
時間がかかりそうなので、俺は日記をとりだした。あちらに居た頃に、不真面目にたまに書いていたものだ。こんなものを買ったとか、こんなものが異常に高かった/安かったとか、そういう雑感を書き付けている。まあ大半、どこで食べたなにがおいしかった、材料は多分これとこれと、と、食べておいしかったものとその材料、こんなレシピじゃないかという予想、だけど。
ただ、たまには俺も真面目な時があって、こういうものがあったら便利なのにとか、こういうものがほしいとか、書いている。筆頭は、筆記具だ。ボールペンをたまたま持っていたけれど、インクがいつなくなるか不安だったからな。
ペンとか鉛筆とか、持って行っても大丈夫かなあ。大丈夫なら、持って行きたい。でも、ペンはなにでできてるのか、わからない。鉛筆は、黒鉛と、木と、接着剤と……接着剤がアウトかも?
そういうものがあるだけでアウトなのか、つかったらアウトなのか、触ったらアウトなのか、判断つかないな。ただ、どこからどう見ても「鉛筆の芯」が存在していたから、鉛筆の芯部分はあちらのひとにとって悪いものではない。筈。
はぶらしとか、グリセリンとか、こっちで買ったものもこそこそつかっていたが、俺自身にはなにもなかった。持つこと自体はセーフかな。




