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ふたりがチェックインの手続きをし始めた。フロントの女性はインカムでどこかへ連絡をとる。
エリカさんが、渓谷が絵のように綺麗に見える窓をちらっと見て、フロントへ向き直った。
「ここって、許可をとれば撮影もできるって聴いたんですけど」
「はい」
白石くんが、ラミネート加工された紙をとりだした。「このようになっております。生配信などは、支配人の許可が必要ですので、申し訳ございませんがフロントでは判断できないのですが、事前にひと言戴ければ、レストランでの料理の撮影などはして戴いても結構です」
「わ、こまかーい」
エリカさんはラミネート加工された紙を手にとって、目を通している。面倒そうではなくて、興味津々、という感じだった。
フロントの女性がぱっと、こちらを向く。「真緒さま、オーナーが、倉庫へいらっしゃるようにと」
「ああはい。すぐ行きますっておじさんに伝えてください」
「かしこまりました」
貝ぼたんとはちみつ、もう届いてるんだ。トラックとすれ違ったりしなかったから、かなりはやくに着いてたんだな。
俺はミチヒロさん達にぺこりと頭をさげた。
「じゃあ、ごゆっくり。温泉、気持ちいいですし、レストランはピザがおいしいですよ」
「あ、ほんとにありがとうございます、案内してくれて」
「いえいえ。それじゃあまた」
手を軽く振りながら、ロビーから外へ出た。ふたりは早速、レストランでご飯を食べるらしい。たまにはぜいたくなご飯で、旅の疲れを癒してもいいよね。
お庭へ這入るための出入り口を通る。従業員とすれ違って、会釈されたので会釈を返した。倉庫は庭をつっきって、かなり行ったところにある。
あ、レストランで動画撮ってた子達だ。
四人組の女の子達が、ちょっとはなれたところで、お庭の木を撮影していた。今日も髪色もメイクも派手だ。若い。
俺の視線に気付いたか、四人が一斉に振り返った。俺はなんとなくお辞儀する。向こうも、思いがけず丁寧なお辞儀をしてくれた。あれだなあ、SNSで人気なひと達って、感じがいい。まじで。
「散歩ですかあー?」
「そんなもんでーす!」
訊かれたので答えたら、四人はくすくす笑った。なにが面白いのかはわからないが、楽しそうなのでいい返答だったということにしておこう。あれくらいの年頃って、箸が転がっても面白いと云うし、なにより笑うのはいいことだよな。
もしかしたらほーじくん達より彼女達のほうが歳上かもしれない。
それなのに、ほーじくん達はいろんなことにしばられて、自由にひと付き合いもできないんだよな。
なんだかもどかしい。
感想ありがとうございます。はげみになります。
はやく再会させたいものですね(~_~;)




