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「男のほうが安全じゃん」

「死んだりしたら後味悪いもんね」

「しぬって」

 焦げ茶髪にそばかすがかわいいヴェンゼくんが、手を動かした。なんらかのハンドサインらしいが、解らん。

 首を傾げると、耳打ちされる。「失敗したら死ぬでしょ。堕胎」

「ああ……」

 そっか。麻酔はめずらしいし、恢復魔法があるから医療はあんまり進んでいない。命がけだ。

 ヴェンゼくんはワインをすする。「女を無理に働かせたりしてご覧よ。最悪、荒れ地送りだから」

「俺達はそういうことにはならないもんな」

「怪我しても、癒し手に治してもらえばいいし」

「薄利多売ってやつ」

 笑いが弾けた。

 テーブルがひとつ空いたので、男の子達とは別れた。さて、今日もすりますか。


 もの凄い勢いでお金が無くなっていく。

 うーん。資金が心許ない。薬材取りにでも行かないと。

 借金をしないかって持ちかけられるまでが長い。怪しまれてないよな?

 百面相していたらしく、隣の席のおじさまに頬をつつかれた。「おじょうちゃん、あんまり賭けが上手じゃないみたいだね」

「えへへ。おじさま、こつってあります? すぐお金がなくなっちゃうの」

 いきなり体触ってくるってないわーと思いつつ、表面取り繕った。

 おじさまは、すでに隣に、グエンくん達とは別グループの男の子を座らせている。金髪のその子は俺と目が合うと、じっとり睨んできた。とりませんから落ち着いて。

 おじさまは俺の手を両手で掴んだ。うー。掴むまではいいよ? でもどうして擽ってくる訳? しかも、相当がっつり。

「そうだねえ。賭けは運だからなあ。僕は運がよくなるおまもりを持っててねえ」

「えー、スゴーイ。めずらしいですねぇ」

「それを手にいれるのに運が必要だったよ」

 おじさまは自分が云ったことに自分で笑う。「裁定者や智慧者なら、賭けでも強いんだろうねえ」

「うふふ、そんなめずらしい特殊能力のひとが、居る訳ないじゃないですか?」

「いやいや、居るんだよ。奥にね」

 奥?

 おじさまをまじまじと見る。ロア系? シアイル系? で、くらめの茶髪で目は焦げ茶。肌は白餡みたいな色。奥に呼ばれるひとの特徴ではない。

「おく?」にこっとする。「なにがあるの?」

「ここより高いお金をかけられるんだよ。僕は行ったことないけどねえ、ここは友達がやってるから」

 !

 ウロアの知り合いか。俺ははやる気持ちをおさえ、空いた手をおじさまの手へ重ねた。金髪くんが目付きを厳しくする。

「どんなひとなの? 教えて」


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