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 おじさんは、レストランに食事を注文する、と、居間へ行った。妹には、特製のおかゆをつくらせるそうだ。

 俺はおじさんを見送ってから、掛け布団をそっとめくった。さっき、看護師さんが妹のカーディガンをぬがしたのだが、その時左腕がちらっと見えた。

「……消えてる」

 確認すると、やっぱり左腕の傷痕は、綺麗に消えている。これは、ヤラの水花のおかげ、だろう。

 もしかしたら、相当凄い威力の恢復(かいふく)魔法をつかえるのだろうか。傷痕をどうにかするのは難しいんだよな。

 ミューくんが、ヨーくんの顔の傷痕をうすくした時、ヨーくんもバルドさんも凄く驚いていた。ふたりとも吃驚して、その後のちょっとの時間、魔法をつかえなかった筈だ。歴戦の傭兵が、魔法をつかえなくなるくらいショックをうけたってことは、凄いこと、とてもめずらしいこと、には違いない。

 妹の怪我は、古いものではなかった。けれど、サローちゃんのお薬でも痕が残ったのだ。レント一、もしかしたら裾野一の腕前の、サローちゃんのお薬で、跡が残るのである。それを治せるんだから、ヤラってとんでもないのかもしれない。


 妹がまぶたを重そうに開けた。俺は成る丈優しく、きがえを提案する。妹は承知して、水色の木綿のパジャマがいいと細かい注文をくれた。なので、妹の荷物のなかからそれをすぐに見付けだせる。

 手伝いを申し出たが、きっぱり拒否されたので、俺は妹を残して居間へ移動した。そちらには先程とは別の看護師さんが居て、俺はそのひとに、妹のきがえの手伝いを頼む。看護師さんはすぐに寝室へ行ってくれた。

 おじさんがローテーブルの上を示す。そこにはそっけない白いビニール袋があった。「解熱剤と抗生物質」

「ああ、あとで()ませないとね」

「あの子は薬をきらうけんのお」

 袋のなかを確認すると、錠剤のシートが輪ゴムでとめていれてあった。妹は錠剤が苦手なのだ。かといってシロップも嫌いで、小さい頃から粉薬しか()みたがらない。お医者さんにそのことを伝えておけばよかった。

「粉薬にかえてもらえないかな」

 おじさんはすぐに、ケータイでどこかへ連絡したが、残念そうに通話を終えた。「薬剤師さんが帰ったけん無理じゃと」

 そんなもん?

 わからないが、妹に委ねるしかない。

 ふと、開いた窓から外を見ると、空がくらかった。いつの間にか日が暮れてしまったらしい。時計に目を遣って飛び上がりそうになる。もう夜の九時近い。妹のことで、時間の感覚がおかしくなっていた。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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