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俺は妹の手から紙袋を回収し、自分の分と一緒に収納した。うーむ、便利。俺が死んだら、収納空間にあるごみは消えてしまう筈だ。あちらの世界のルールではそう。こっちでそれが適応されるかはビミョーだな。でも、持ち歩けるくずかごだと思ったら、めちゃくちゃ便利だ。
ベンチから立って、並んで歩き出す。妹が指さして進行方向を示すので、俺はそれに従うだけだ。前哨戦のパンをやっつけたら、本番のラーメンが待っている。
「ロアのひとはシアイルに敵意がある。でしょ」
「そうみたいやな」俺は頷く。「理由はさっき、やっとわかった」
「で、反対は?」
反対。
シアイルが、ロアをどう思っているか……という意味だろう。
どうなのかな。ユラちゃんは、ロア人からの敵意には、面倒そうにしていた。リッターくんがどう考えていたかはわからない。そもそもリッターくんは、出身地で区別するタイプじゃない。出身地域がここだろうからこういう習慣は通じるだろう、みたいなのは考えてたっぽいけど(シアイル人っぽいから土下座が通じるだろう、みたいなやつだ)、それ以外はニュートラルだった気がする。
でも……シアイルが、ロアをどう思ってるか、かあ。
距離的には、かなりある。間にディファーズか裾野か御山をはさんでいて、領土が隣接しているところはない。
文化的にも、服装から食べものから、かなり違う。食生活も、なまぐさものを嫌うシアイルに対して、ロアはお肉が主食ってくらいにお肉を沢山食べる。一部の地域といえ疎蕩者をきちんとした神と認めているシアイルと違い、ロアは娼妓を嫌っているし、お祈りの時間や回数も違う。
うーん、正反対な部分が多いな。
習慣も、食生活も、信仰に対する考えも違う。神さまさえ差異があるのだ。
学生さん達には、他地域出身者とも親しくしてほしいな、と思ってたけど、よくよく考えたら難しいことだったんだな。
日本人だって、お葬式に着飾って出席したり、お墓に座ったりしているひとを見たら、いやな気分になるだろう。別の国だとそれがあたりまえだとしても。
その上、あちらにはリアルに天罰があるのだ。信仰やお祈りの差で、こちらの世界の比ではない対立を生む。
そういえば、ロア人とディファーズ人の喧嘩(あれは最初に挑発したロア人に問題があると思う)に行き会った時、シアイル人はお祈りして無関係アピールに必死だったっけ。
ロア人は、反乱して独立したっていう経緯もあって、あえて昔とは違う方向へすすんでいる感じもするな。そういう態度のロアには、シアイルもいい気はしていないだろう。




