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サキくんがリッターくんに気持ちを伝えた時の、リッターくんの反応がなあ。あれがどうにも、わからない。
驚いた、っていうのはあると思う。あとは、喧嘩の流れだったから、云われたことの意味がわからなかったのかもしれない。なにを云ってる? みたいに、云ってたよね、リッターくん。
ただ、もしリッターくんがサキくんを好きなら、あの後になにかしらのアクションはあると思うんだよね。でもそういうのなく、なんかきまずーい感じが、長いこと続いていた。いや、俺が封印される十日くらい前の話だから、あの後もしかしたらってことはあるけど、でもなあ。
唸る。あ、メロンパンうま。
「なに唸ってるの」
「いやあ、ちょっと謎な部分があってさあ」
「謎」
「謎。リッターくんって、よくわからない子なんだよね」
それがあるのだ。
リッターくんは決して、悪い子ではない。優しくて、正義感が強くて、友情に篤くて、勇気がある。口下手と、すぐに行動に移してしまうちょっとした軽率さに目を瞑れば、本当にいい子だ。
そう……だから、リッターくんがサキくんのことを好き、なら、あの後自分も好きだというなり、なんなり、しそうなものなんだよね。俺が封印されるまでの十日間、その様子がなかったのが気になる。もしなにかあったら、サキくんが俺に教えてくれると思うし。
サキくんの様子を訊かれたことはあったけど、それは別に、好きでも嫌いでもどちらでもなくても、あんなふうに好きだって云われちゃったら誰だって気にするだろう。サキくんがその後、泣き出しちゃったのもあったし。
特にリッターくんは、ぶっきらぼうな言動で誤解されがちだけれど、優しい。サキくんが大丈夫かどうかを友人として気にする、のは、リッターくんならおかしくない。
手の甲をつねられた。「痛い」
「なに考えてるのか、説明」
「はい」
ちょっと鋭い調子で云われたので、俺は首をすくめてリッターくんとサキくんについて話した。妹は時折頷きながら、興味深そうに聴いている。
リッターくんは優しく、嫌いな相手でなければ心配するのに違和感はないので、サキくんに対しての言動が好きだからかどうか判断できない部分がある。サキくんからリッターくんに好きだと云ったのに、その後リッターくんがサキくんに対してはっきりした態度をとらないのがおかしい気がする。そういうようなことを伝えると、妹は口を半開きにした。
「なに、云いよるん」
「え?」




