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 俺は自分のケータイで、手芸用品の会社の、公式通販サイトを開いていた。ふむふむ、ぼたんってこれくらいの値段なのか。

 木製と貝製の、小さなぼたんを、ロットで注文する。こうやって注文して、ほしいものが手にはいるのだから、便利な世のなかである。

 その後しばらく、俺の預金額を超えない範囲で、ほしいものを注文した。食べものに関しては、成る丈混ぜものが少ないやつを選んでいる。

 俺は添加物とかなんとかはあんまり気にするタイプではないのだが、あちらにないものを持ち込んであちらのひとに食べさせた場合、中毒を起こすかもしれないという心配がある。まあそれ云ったらチョコレートそのものがやばいのだが、みんな喜んでたしおいしいって云ってたし、食べさせてあげたい。だから、それ以外の添加物には気を配る、ということ。

 最初に飛ばされた時、オーダー24で買いものした帰りだったからな。あのお店は、無添加とかオーガニックとかにこだわってる。俺は安いからあそこで買ってるだけ。

 要望に添うようなものも沢山売ってあって、ネット通販ってすげえと感心した。すげー。

 とはいえ、俺の預金額もそんなにたいしたものではない。だから注文できたのは、大人買い、くらいの量だ。

 宝石類をかいとってもらったら、そのお金で、おじさんが手配してくれることになっている。その前に不意に封印が解除されてしまった場合は、今注文したものが役に立つかもしれない。届く前に解除したらお笑いだな。

 そうだとしても、あちらに戻れたら俺は嬉しい、のだと思う。


「買いもの、行こう、お兄ちゃん」

 ぼーっとしていた俺は、妹の声で我に返った。

「買いもの?」

 妹は頷いて、座布団に座っている俺の隣にぱっと正座する。「さっき、地図たしかめた。ふた駅行ったら、大きめの手芸店があるみたい。そこにあるぼたん、買いに行こうえ」

「あ……あ、ああ、そうだな」

 頷いた。注文したものが届く前に封印が解けたら、というのは、今の今、考えていたことだ。小さなぼたんがあれば、それひとつで数日分の資金になる。

 収納空間にはあちらのお金もある程度はあるが、封印が解けた時にどこに居るかわからないから、お金を確保できる手段はできるだけあったほうがいい。どこに飛ばされたとしてもまずいのはかわりないけど、知り合いがひとりもいないところだったら、ものをいうのはお金だ。

 あちらで過ごした二年弱は、とても快適だったけど、だからってあちらが理想郷のような場所ではないというのは理解している。無駄な幻想は抱かない。お金は、必要だ。


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